1. 放課後9.2帖ラジオ
  2. #103_【文国】AIの「記号接地..
2024-11-10 15:48

#103_【文国】AIの「記号接地問題」から国語の授業を考える

5 Comments spotify

#高校 #国語 #教員 #授業 #声日記

今回はハイコンテクストですね…

以下に関連エピソードを挙げます。

listenでの検索、めっちゃ便利ですね。

 

▼東京文学散歩のこと

 

▼『こころ』授業を進める中で苦戦している様

 

▼実践発表の前に行った研究授業について

 OPPシートのこともここで詳しく話しています。

 

今回私が挙げた今井むつみ先生のお話は、「令和5年度兵庫県教育研究会国語部会秋季研究協議会」で拝聴したご講演内容をもとに、簡潔にまとめたものです。

以下に関連書籍を挙げます。

 

▼今井むつみ『算数文章題が解けない子どもたち──ことば・思考の力と学力不振』岩波書店,2022

https://www.amazon.co.jp/算数文章題が解けない子どもたち-ことば・思考の力と学力不振-今井-むつみ/dp/4000054155?dplnkId=dc642833-3f88-414f-a260-0b4c5e3a70d6&nodl=1

 

▼今井むつみ、秋田喜美『言語の本質-ことばはどう生まれ、進化したか』 中公新書,2023

https://www.amazon.co.jp/算数文章題が解けない子どもたち-ことば・思考の力と学力不振-今井-むつみ/dp/4000054155?dplnkId=dc642833-3f88-414f-a260-0b4c5e3a70d6&nodl=1

 

▼今井むつみ『学力喪失』岩波書店,2024

こちら、まだ読めていないのですが、Amazonの目次を見る限り、今回の話に一番近い内容かと思います。

https://www.amazon.co.jp/学力喪失──認知科学による回復への道筋-岩波新書-新赤版-2034-むつみ/dp/4004320348/ref=pd_aw_fbt_img_m_sccl_1/355-4471617-9719834?pd_rd_w=YnrBE&content-id=amzn1.sym.ff20b31a-1b57-44c9-979a-42278d4d3dd4&pf_rd_p=ff20b31a-1b57-44c9-979a-42278d4d3dd4&pf_rd_r=MA838JRWG5BKCD601X4Q&pd_rd_wg=8HRkg&pd_rd_r=ce079d69-69c3-4ab1-b3e5-c6cda80aae0f&pd_rd_i=4004320348&psc=1

 

Summary

このエピソードでは、高校の国語の授業を通じて、AIの「記号接地問題」について考察しています。特に、夏目漱石の『心』を使った授業の例を挙げ、生徒の思考力や表現力を引き出す方法について述べています。今井先生は、子どもたちの数学や国語の授業における記号の理解について論じており、経験に基づく理解を深めることが記号接地において重要であると指摘しています。

国語科教諭の実践
どうもお疲れ様です、いかです。この番組では、高校の国語科教諭をしている私、いかが、仕事のことや仕事以外のことを緩くおしゃべりしていきます。
今週は寒かったですね。あの、もう全身ヒートテックでしたよ。で、フリースとニット重ねてもまだ寒くって、車のシートヒーターもオンにしてました。
もう晩襲といった感じですか。冬本番ちょっと怖いですね。1月2月なんてどうなっちゃうんだろう、なんて思ってたんですが、ただ今日は割りかし暖かいかな。
今朝ゴルフのレッスンに行っていたんですが、先生がなんか来週はもう夏日近くなるみたいよとか言ってて、25度ぐらいにまでなる時間帯もあるのかな。
ここまで気温差があるとちょっと体調が心配なんですが、皆さんお変わりないでしょうか。先週はね、ポッドキャストウィークへのがあって、私もその感想と言いますか、自分の中でのまとめを小絵日記としてあげたんですが、
想像以上にたくさんの方の反応をいただきまして、何だか慣れないもので、結構嬉しい気持ちと、こんな人もこんな人もみたいな驚きもあって、ありがとうございます皆さん。
で、ポッドキャストウィークエンドという、私の中で、皆さんの中でもそうかもしれないけれど、お祭りがひとしきり済んで、また日常が始まっていっていたわけですが、
金曜日はですね、国語部会の研究協議会っていう、研究授業を見たりとか、あとは実践発表を聞いたりとか、私は実践発表をする側だったんですが、それがありましたね。
この実践発表は、文学国語の心という教材でね、私はやることになっていて、以前も小絵日記でお伝えをしていたと思うんですけれど、
夏休みに8月19日ですね、夏目漱石心の足跡をたどるという文学研修に参加したんですね。で、それを踏まえて授業をやっていくっていう。
まあ、その研修は、ただね、東京で散歩をして楽しんで終わりっていうことではなくてね、こういう実践発表とか、あとはこの後、報告ということで原稿なんていうのも書かないといけないわけで、
かなりどうしたらいいかなと苦戦をしていたわけなんですが、無事その発表が終わりましたよと、そんな今週でしたね。
夏目漱石と作品の解釈
で、その発表せっかくパワーポイントとかでまとめたし、自分の中でもちょっと頑張ったことだったから、それをこの小絵日記としても少し残しておこうかなとお話できればなと思いますね。
はい、こちら指導手法としては、読むこと、思考力、判断力、表現力を作品に現れているものの見方、感じ方、考え方を捉えるとともに、作品が成立した背景や他の作品などとの関係を踏まえ、作品の解釈を深めること。
学習指導要領にこういうことを指導しましょうというのが載っているわけですが、その中でも今回私が重点的に指導しようと思ったのがこちらだったわけですね。
この作品の解釈を深めるというのはどういうふうに実現させていったらいいんだろうということで、もう少し具体的に教材に即して、生徒の実情に即して、私の狙いを言語化すると、
心は人間のエゴイズムを描き、その背景には明治時代の社会的文化的特徴と、それらが与えた作者への影響が深く関連していることに気づくっていう感じにしましたね。
まあ、主題と時代背景等を結びつけていくという、そういう営みができればいいのかなという感じでした。
で、最終的な課題としては、夏目漱石は心という作品を通してどのようなことを描きたかったのか、またあなたがそのように考える理由は何か、近代、明治時代の特徴を踏まえ300字以上600字以内で述べようというものでしたね。
この課題に到達させるために、例えば、そうですね、心の内容をちゃんと読んでいくというか、理解していくっていうのも必要なことですし、私が生徒の理解度どこまで進んでいるかなっていうのをちゃんと見取れるように、
OPPCというツールを使ったり、一枚で生徒の学習履歴を見ることができたり、始めと終わりの編容を見ることができたりするっていう便利なアイテムですね。
それを使ったり、あとは共同的な学習というのを今はやりましょうということで結構推進されている側面もあるわけですが、
ロイロノートっていうアプリを使って、その中でも共有ノートという、共同でオンライン上で作業ができる、そして私もそれをモニタリングできるという機能も使ったりして、
あとは明治時代について私がプリントを用意して話したり、重要なところをパーポで示したりしながら伝えていったという感じですかね。
近代の特徴を踏まえるっていうのは、生徒にとっては難しいかな、ちょっと無理かなと諦めていたというか、諦めかけていたところではあったんですが、
ちゃんと噛み砕いて説明をすると案外それと心と結びつけて最終的な課題を提出してきた子が多かったなと。
そのエゴイズムという言葉は、私はあんまり頻繁に使っていたわけではなかったんですね。
だけど生徒は自分なりの言葉でそれを表現しようとしてたなっていうのが読み取れたんですよね。
例えば一部を紹介するんですが、
心は自由なことが一般的にできるようになったからこその苦悩、誰しもが抱える心の中にある黒い部分などで揺れ動く心情を描きたかったと考える。
ここから彼の書いた論が続いていくわけなんですが、
エゴイズムという言葉は使っていないんだけれど、
誰しもが抱える心の中にある黒い部分というふうに表現をしていて、
自分なりの言葉で表現できている、主題を捉えているっていうのが良かったなと思いましたね。
AIの記号接地問題
今回の私の裏テーマとして、文学散歩を行って、
私がその街のことや小説に描かれていることを実感したっていう私の実感であったり、
その実感を生徒の実感に変えていくっていうことだったり、
生徒の学習の状況を私がそのOPPシートなんかを使って実感を持って見取っていくであったり、
生徒もその難しい言葉で書いていることだけれども、
自分の言葉で置き換えながら表現をしていくっていうそういう実感であったり、
こちらの裏テーマだったこの実感みたいなところが、
よく現れたというか、できた授業だったんじゃないかなと思ってますね。
私、金曜日の発表で、終わりにの部分でですね、
AIの記号設置問題から国語化の授業を考えるというサブタイトルみたいなもので、
お話を最後させていただいたんですね。
AIの記号設置問題って、聞いたことある方ももしかしたらいらっしゃるかもしれないんですが、
記号設置問題を最初に指摘したのは、認知科学者のスティーブンハルナッドという人ですね。
彼は言葉を身体感覚や経験を結びつけずに、与えられた定義だけで操ろうとしているAIを、
記号から記号へ漂流し、一度も地面に降りることができずに回り続けなければならないメリーゴーランドのようだと述べています。
つまり、AIは単語一つ一つが経験や感覚に対応していないので、真に意味を理解していないということが言えます。
で、認知科学者のイマイムツミ先生ですね。
あのゆる言語学ラジオでもおなじみですが、
算数の理解と記号の設置
イマイ先生はこれを踏まえて、算数の苦手な子どもたちがこれと同じ状況にあるというふうに説明しています。
例えば、3分の1と2分の1とではどちらが大きいでしょうという問題を解かせたときに、3分の1と回答してしまう子どもがいるんですね。
また、チャットGPTも同じような間違いをすることがあると。
今はどうか分からない。日々発達していっているから、もしかしたら正しく言ってくれるかもしれないけれど、当時はそういうふうな間違いをすることがあったそうです。
で、ホールケーキ一つを3人で割るのと2人で割るのと1人分多くなるのはどっちでしょうみたいな。
経験や感覚に基づく理解とか推測ができていれば、こういう間違いは起こらないと思うんですね。
つまり、3分の1、2分の1などの数字、記号を比較したり計算に用いたりするということはできたとしても、量としてあるいは実感として捉えられていないということが指摘できると思います。
この状態は、スティーブン・ハルナンド氏の言葉を借りると、記号が設置していないということもできるんじゃないかと。
そして今井先生は子どもたちの言葉の体系、これをスキーマと言ったりしますが、このスキーマを豊かにすること、つまり一つ一つの言葉の意味を相互に関連づけながら実感を持って理解していくことというのが記号を設置させていくことにもなるというふうにおっしゃっています。
私は今井先生の主張というかお話を踏まえてですね、国語化の読むということにおいても、この記号を設置させていく営みというのは重要なんじゃないかなと考えるんですね。
メリーゴーランドのように漂流する記号を身体的に意味を実感できるような、なめらかで重みのある情報に変えていく、自分に結びつけていく、このような実感を生徒に持たせていくというのが必要なんじゃないかなと思います。
そしてもちろんそのためには、指導者自身の実感というのも必要です。
今回の研修ではフィールドワークという身体的なインプットができましたが、こういう教材研究のあり方、専門性の高め方というのは、今後ますますAIの存在が当たり前になっていく社会でこそ有意義なものになるんじゃないかなと考えています。
なので、生徒の読み絵の実感、記号設置につながる授業っていうのを目指していきたいですと、そういうふうな話を最後にして終わりました。
フィールドワークの重要性
最後ね、目指していきたいという所存ですと言おうとしたら、所存ですがうまく言えなくて、笑っちゃって終わっちゃったんですけど、M-1の壁ポスターが最後うまくいかなくてルルルってなっちゃったのと似てるななんて自分も思いながら発表を終えたんですが。
そんな感じで、最初にフィールドワークというかそういう研修があったというお話をしましたが、そういう記号を設置させていく営みっていうのは、学校の授業に限らず今は聖地巡礼みたいな形で、
趣味で好きなものとか二次元で追っていたもの、バーチャルで追っていたものっていうのを自分が体験しに行くそのゆかりの地に行くっていうのは結構流行ってきてると思いますし、それはどんどん進んでいくんじゃないかなと思うから、その授業においてもそういう身体制っていうのを大事にしていきたいですね。
今日はこんなところですかね。発表なんとか終えられてよかったです。またその文学国語の教材研究をしに今は喫茶店というかコンセントのあるファミレスみたいなところに行こうとしているわけで、その駐車場で撮っておりますが、引き続き頑張っていきたいと思います。では今日はこれで終わります。ありがとうございました。
15:48

Comments

こころ、私も2週間後に入ります。どうなるかわかりませんが(笑) 今井むつみ先生の学力喪失というのを読んでます。いまトレンドですね。 ファミレスでの教材研究、お疲れ様ですねー 私もこれからですが苦笑

いか

やはり『こころ』は、定番というか王道というか、避けては倒れない道ですね…笑 黒瀬先生も今からなのですね、よし、ちょっとやる気が出てきました💪 私は『史記』「鴻門の会」です! これも定番中の定番ですね〜笑

今のAIは「計算」ではなく「推論」ですべてに対応しますので、 仕組み 上 そのような計算ミスが起こり得ますし、今後もよほど革新的な変化がない限りは計算ミス率をゼロにはできないでしょうね。 コンピューターの一般的なイメージと裏腹に AIは計算がとっても苦手なんです。 そういう意味ではここでおっしゃられているように、今の子どもの計算の間違え方とロジックは近そうな気がしますね

高見さん、コメントありがとうございます! なるほど。我々が一般的に想像する「計算」とは違う処理をしているわけですね。AIの推論は帰納的な印象ですが、人間の推論はそれに加えてアブダクション的な側面もありますよね。人間と非人間の共通点や相違点を探るのは面白いですが、深淵です…

そちらで話題にされている内容に近いところだと、ゆるコンピューター科学ラジオの#141 あたりなどを聞くとスッと分かるかもしれません。自分もやった範囲だと「2時間10分30秒を秒に直して」みたいな指示でも式は合ってるのに計算が間違ってるみたいな間違いがありました(最近は作業時間の集計などをしてもだいぶ正答が出るので変わったのかもしれませんが)。 AIって人間とは全く違う世界観で生きている別の種族という感覚を最近持っています。 すべての常識観念は違うけど人間に今何らかの形で貢献したいと思っているので、いい感じのつきあい方を何度も話して模索していく というのが正しいあり方なのかなあと最近は思っています。

Scroll