性同一性障害って元々何に使われていた言葉なのか!についてお話ししました。「意外と知らなかった!」と感じていただければ、ラジオキッチュらしいジェンダー論のお話になったかなと思います!


今回のエピソードでは「性同一性障害という言葉はどういった文脈の中で使われてきたのか」について知ることに重点を置いているため、単にトランスジェンダー等を指す医学名称として使われている状況を、あえて無視してお話しています。実際に「性同一性障害は、性自認(性同一性、心の性とも)と身体的性が一致しない状態」と紹介されていることももちろんあります。



【参考文献】

アン・ファウスト-スターリング『セックス/ジェンダー 性分化をとらえ直す』福富護、上瀬由美子、宇井美代子、立脇洋介、西山千恵子、関口元子訳、世織書房、2018年

Wikipedia「性同一性障害」〈https://ja.wikipedia.org/wiki/性同一性障害〉(2024年6月24日確認)

CNN「性別変更の手術要件、生殖能力なくす手術は「違憲」 最高裁」〈https://www.cnn.co.jp/world/35210777.html〉(2024年6月24日確認)



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■三嬉雪蘭(STUDIO Kitsch)

武蔵大学人文学部ヨーロッパ史専攻。好きな科目は世界史。

実は専攻はジェンダー研究ではないのだが、好きすぎるがあまりラジオを始めてしまった。



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Summary

性同一性障害についての勘違いや誤解を解くために、性同一性障害の言葉の使用やその起源について説明がされています。

性同一性障害の勘違い
今日はですね、性同一性障害について話したいと思います。厳密に言うと、性同一性障害という言葉について話したいと思います。
聞いたことありますよね、性同一性障害。
僕が聞いたことある範囲だと、まず多分最初にこの性同一性障害を聞いたのは、というかこの言葉を知ったのは、多分小学生か中学生ぐらいの時だと思うんですよね。
どういう風に使ってたかというと、ゲイとかレズビアンとかトランスジェンダーとかそういう人たちをイヤイヤする感じで、小難しい言葉を使う。
それがかっこいいみたいな。
当時小学生とか中学生でしたから、難しい言葉を使っていることがちょっと洒落てるみたいな。
そういった認識のもと、ゲイ、レズビアン、トランスジェンダーとかそういう人たちのことを性同一性障害という風に名付けて呼んでいたんですよね。
僕個人に限っては、多分最初にこの性同一性障害という言葉を知ったのは、おそらくこのシチュエーションの時だと思います。
多分自分も言ってたんじゃないかなと思うんですよね。
悲しいことに。今は言わないですよ。当たり前ですけど。
多分当時もそういう風に僕も使ってたんじゃろうかなと思うんですよね。
けど、この性同一性障害ってどういう言葉が知ってますか?
性同一性障害の使用目的
性同一性障害ってトランスジェンダーの人とかゲイとかレズビアンのことを医学的に指す言葉ではないんですよ。
これ知ってました?
性同一性障害という言葉がどういう文脈からできたのか?どういう目的のために作られて利用されてきたのか?使用されてきたのか?
っていうのは、このトランスジェンダーの人とかゲイの人とかレズビアンの人とかを
に対する病名として性同一性障害っていうこういう障害だ病気だ疾病だっていう風に名付けるために出てきた言葉ではないんですよね。
じゃあ何のために使われてきた言葉かっていうと
これ、性転換手術を望む人に対してオペを行うとき、オペを行うにはこれは病名が必要ですよね。
なのでその人に必ず病名を与えなきゃいけないんです。
だからその人たちに対して仮の病名として性同一性障害っていう病名を割り振るんですね。
で、病名が割り振られればこれはオペを行うことができるんです。
つまり性転換手術を行うことができる。
こういう文脈で使われてきた言葉が性同一性障害なんですよ。
つまりこれは厳密に言うとゲイとかレズビアンとかトランスジェンダーの人たちを医学的な観点から呼称する言葉ではないということですね。
ここをごっちゃにしていたから、僕とか僕の周りの人は小学生とか中学生の時にゲイとかレズビアンとかトランスジェンダーの人たちのことを性同一性障害とカッコつけて言っていたわけですけど、
現段階というか、同年代の人でも性同一性障害っていうふうにトランスジェンダーの人のことを揶揄したり、ましてやノンバイナリーとかクエスチョニングとかいわゆるLGBTQの性的マイノリティの人たちのことを性同一性障害と揶揄して、
おそらくカッコつけてイヤイヤしている人たちがいるんですが、同年代でね。若干悲しいなと思うとともに意味違うんだけどなというのは毎回思うところなんですよね。
障害の定義の変遷
さっき言ったようにトランスジェンダーとかの人が性転換手術の治療を望むときに必要となる診断名のことを性同一性障害というふうな名前をつけるということですね。
現段階ではWHOが定める精神障害の分類に該当していません。この性同一性障害は。
昔は該当してたんですけど、現在は該当していません。
さらにはですね、現在は性同一性障害という言葉をあまり使わなくなってきている傾向にあります。
なんて言ってるかというと、性別違和とか、そういった言葉に置き換われている可能性というかそういう状況がよくありますね。
あんまり使わないでいこうという風潮もあります。
私もこの風潮に乗りたいんですけど、今回はこの性同一性障害という言葉がどういう文脈のもとで使われてきて、みんながどんな勘違いをしているのかっていうのをあえて紹介するために、わざとこの性同一性障害という言葉を使っていますということを、ここに言い訳というか弁明させていただきます。
ちなみにこの性同一性障害とか、あとは性同一性というもの、ジェンダーアイデンティティですね、性同一性ですね。
この性同一性とか、このジェンダーアイデンティティについて知りたい方は、ぜひネットとかで調べてみると様々な文献があると、文献というか記事かな、いろんなところがウェブで記事を公開してますので、そこを参照してみるとまた理解が深まるんじゃないかなと思います。
ついでに性同一性障害とかにも調べてみるといいんじゃないかなと思います。
この性同一性障害と言っているぐらいですから、一応障害という名前がついているんですよね。実際は障害じゃないんですけどね。
まあこのオペのための病名、仮の病名なんですけど、そもそも障害って時代とか文化とか地域によって障害って変わるんですよ。
例えば、大昔においては目が悪い人って障害者だったんですよね。
これは何でかっていうと、当時は眼鏡もない、コンタクトもない、レイシック手術もないわけですから、目が悪いって一生残り続ける病気で、それが生活に支障をきたすような病気だったんですよ。
だから目が悪い人って障害者だったんですけど、現代ではさっき言ったように、眼鏡とかコンタクトとか手術とかで目の視力ってある程度克服できるし、生活に支障がないレベルまで持ち上げることができるので、私たちは普通に目が悪い人のことを障害者って呼ばないですよね。
けど昔は呼んでいたんですよ。呼んでいたし、それが障害者だった。
さらにおいては、本当に大昔、農耕社会とかにおいては、軽度知的障害なんていうものは存在しなかったんですよ。
それは、農民として農業ができれば、別にその人は人であったんですね、普通の。何ら問題もない。
その当時の人たちにとって生活することというのは農業ができることにほぼ等しいことなので、その生活、つまり農業に支障がないならば、軽度知的障害なんて発見されなかったし、誰も軽度知的障害なんていう名称をつけなかったんです。
けど今は、農業をするっていうのがイコール生活というふうにはなっていなくて、ある程度学校や会社とかの社会のあらゆる場面において、ある程度の知的能力を求められる場面が多いじゃないですか。
それが普通になってきていますよね。で、そういう社会だからこそ軽度知的障害っていう言葉が生まれて、そういう表明が作られているわけです。
つまりはその地域や文化とか、その社会によって障害っていうのは異なるんですよね。
という話ですね。で、もう少しこの障害についてしゃべると、障害っていう言葉は、これは医学面、医療面からの言葉ですね。
で、昔障害っていう言葉を使っていなかったんですけど、医学とかの科学系が発展して、あらゆるこの社会のこの世界についての説明が科学に置き換わったとき、障害っていう言葉も病気とかと同じように使われ始めるようになってきたんです。
要は世界っていうのはあらゆる物事を宗教で説明する段階があって、その後にそれが科学に置き換わるんです。
つまり世界のことについて知りたいとき、人々は宗教者、聖職者とかに尋ねていた時代から科学者に尋ねる時代に変わったんですよね。
いわゆる啓蒙主義とかの時代の時です。
あれはほとんど光ってるかな。
ぐらい、あんぐらいの時で世界についての説明するものが、科学で説明するものに変わっていったんですね。それがすげえ変わっていったんですよ、科学に。
という段階において、障害とか病気っていう言葉で、人々の生活に支障がある人々のことを障害者とか病人とかいうふうに言い始めたわけです。
何を言ってるかというと、大昔、まだ世界について宗教が説明していたとき、つまり宗教ロジックで世界が回っていたとき、障害者とかそういう人たちってどのように説明されていたかっていうと、
あの人は前世で悪いことをしたんだね。だから悪魔にいじめられたんだ。悪魔から制裁を受けているんだ。だからあの人は障害者なんだっていう説明をしてたんです。
けど、それが科学に置き換わったとき、あの人は病気だとか障害だというふうに呼ばれるようになったというような歴史があります。
ざっと性同一性障害からそれが何のために誕生した概念か、そしてそもそも障害ってなんだっけっていう話まで、ものすごくざっと軽く荒く説明してきました。
昔の私、小学生とか中学生の時の私がしていた勘違いから、私は当時そういう勘違いをしていたし、謝ったことをしていたんですが、今でも同年代でも同じような謝りをしている人がいるので、
そういう人たちに向けてとか、あとは言葉だけは何となくは知っているんだけど、正直詳しくは知らないとかね、そういう人たちに向けて今回、性同一性障害という言葉の説明をいたしました。
そして、そもそも障害ってその時代とか文化によって定義される障害が違うよという話もついでにしました。
今回の内容について気になることがあれば、ぜひ皆さんも図書館やインターネット等で調べてみると、今回の内容についての理解が深まると思います。
また、私が間違ったことを言っていたら、ぜひお便りフォームとかコメント欄とかでご指摘いただけると幸いです。
ということで、今回の番外編は以上です。
12:32

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