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2021-06-16 20:00

2万人から3億円以上集めたクラファン詐欺を追求

ここ数年で、よく耳にするようになったクラウドファウンディング。
今回取り上げたのは、2万人以上の支援者から3億円以上を集めた小型プリンターPrinCubeをめぐるトラブルです。

番組では調査してもらいたい事件・トラブルも募集しております。調査依頼については下記URLよりご投稿ください。
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<制作>
ホスト:竹村由紀子
プロデューサー:富山真明
制作:株式会社PitPa

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こんにちは、竹村由紀子です。私は今まで、日本とアメリカで報道番組の取材を行ってきました。
この番組では、これまでの取材経験を生かして、SNSで話題になっているトラブルについて、被害を訴える方々の声に耳を傾けて、どんなことが起きているのかを検証していきます。
今回注目したのは、支援者2万人以上、合計3億円以上集めた小型プリンタープリンキューブをめぐるトラブル、
ここ数年ですごくよく耳にするようになったクラウドファウンディング、
これまでにない製品を開発したいなど、新しいプロジェクトを始めようとする会社や個人に対して、そのプロジェクトに賛同した人たちが実現に必要な資金を広く支援する仕組みです。
年々クラウドファウンディングの利用者は増えていて、今回トラブルになっているプリンキューブは、
なんと2万人以上の支援者から3億円以上の支援金を集めました。
人気の秘訣はなんといっても、みんなが今まで見たこともないような魅力的な商品だったということ。
ではどんな商品なのか、キャンプハイヤが運営するサイトを見てみると、こんな歌い文句が書かれています。
羽のように軽いプリンターなので、ポケットに入れて持ち運び、いつでもどこでも好きな場所にインクジェット印刷を行うことができます。
こんな説明とともに動画が添えられています。
本当に手のひらに収まってしまうような小さな四角いプラスチックのケースをテープを貼っていくようにスライドさせると、オリジナルの絵柄や文字が印刷されるという仕組みです。
布のバックとかパソコンにも印刷することができるみたいなので、身の回りのものにオリジナルのロゴを入れたりすると、愛着が湧きそうですよね。
支援金額15750円を支払うことで、今後一般販売が開始されたときには3万円で売りに出されるプリンター本体とスタンダードなインク・耐性インクのセットがリターンとしてもらえるというプロジェクトでした。
つまり、このクラウドファウンディングで一般販売よりも早く支援をすれば、通常価格の47%オフの金額でプリンターセットを手に入れることができるというチャンスです。
こういった魅力的なプロジェクトですから、多くの人が殺到したのもわかりますよね。
クラウドファウンディングでは、まだ世の中に出回っていない商品を応援するという目的もありますし、応援された事業者側もそれに応えて、安めの価格設定で商品を提供するというのがどうやら一般的なようです。
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安く手に入れることはできないな、お買い得だなと思って、すぐクリックしてしまったという支援者も少なくなかったのではないでしょうか。
このプロジェクト、商品が約束通りに無事に届いていれば何の問題もなかったわけですが、今回はそうではなかったようです。
では、どんな声が上がっているんでしょうか。
早速、ツイッターを見ていきましょう。
まず、昨年の7月にはこんな書き込みがありました。
2月7日に支援してて、向こうからファーストバッジで発送だって言ってきているのに、嘘の連絡ばかりしてきて、後に支援した人の方が早く到着したりして、管理どうなってんだ。
このクラウドファウンディングの募集期間は2020年の2月5日から3月末までだったので、募集開始後すぐに支援したのに、5ヶ月以上経ってもいつ届くか明確な説明がなかったということにちょっと不満を感じているようですね。
続いて、昨年の9月にはこんな声がありました。
2月にキャンプファイヤーのクラファンで支援したプリンキューブっていうミニプリンターが半年遅れて届いたんですけど、だけど指定してたものじゃないのはあっちの都合で変更して送ってきて、数回メールしたのに返信もないし、半年経って違うの送ってくるのか。
送れた上に勝手に商品を変更して送りつけてきて、メールの返信もないというのはかなり不審感を持ってしまいますよね。
この方以外にも別の商品、特に指定していたのと違うインクが送られてきたという方が結構いるようなんです。
水に強い耐性インクを選択して、通常の金額よりも高い料金を支払っているにもかかわらず、木や木材に印刷するための通常インクが届いてしまって、それを落ちないようにするコーティングする薬剤みたいなものが何の説明もなく入っていたという方もいました。
耐性インクがないと本来の使用用途の意味がないので、保証を申し出ようと思い、プリンターを開封していません。
他にもよく見てみたら、送られてきたのがオリジナルの製品ではなく、市販されている大手メーカーのプリンターカートリッジだったという人もいました。
オリジナルの商品だから支援したのであって、市販品が届いてしまったら約束が違うと思ってしまいますよね。
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耐性インクということで水に強いというところに魅力を感じてお金を支払った方もいると思うので、印刷したものが洗って消えてしまうインクが届いたら、使い道を考え直さないといけなくなってしまいますよね。
他の支援者からはこんな声もありました。
遅れているから早く発送しなきゃいけないというのは理解できるけど、これだけ雑な発送されると次は支援できないよ。
発送が遅れるんであれば、きちんと連絡して相手に事情を説明するということが大事なんでは。
中には募集から1年近く経って今年に入っても届かないという方もいます。
年が明けて2021年になったけど、キャンプファイヤーで支援したプリンキューブが届かないんですよね。
問い合わせしてももし、キャンプファイヤーに連絡しても当事者同士で解決してくださいが一点張り。
CMバンバン売って不審者たくさん集めてるけど、クラファンの名前を借りた詐欺のプラットフォーム、温床になっても知らないってことですかね。
支援した会社から連絡もなく製品が届かなかったら、クラウドファウンディングのプラットフォームを運営する会社に相談してみようと考えるのは普通の流れかなと思うんですが、
そこで当事者同士で解決してと言われてしまうと、どうしていいか困ってしまいますよね。
この方は、「クラファンの名を借りた詐欺の温床になっても知らないってこと?」とかなり強めの言葉を投げかけていますが、何も対策しなければ本当に詐欺の温床になってしまってもおかしくないと思います。
疑心暗鬼になってしまう方もいます。
本来であれば、魅力的な製品を作る人を支援するのがクラウドファウンディングの役割なわけですが、
誠実な対応がないと、他に支援したい人や製品が出てきても騙されるかもしれない、また嫌な思いをするかもしれないと二の足を踏んでしまうかもしれません。
その気持ちはよくわかります。
こうしたSNSを基に時系列で見てみると、キャンプファイアにプリンキューブが掲載されたのが昨年の2月5日、そして3月までのおよそ2ヶ月の募集期間で2万人以上から3億円を超える資金が集まりました。
キャンプファイアが昨年の4月にマスコミ各社に送ったプレスリリースによると、
これは国内の購入型クラウドファウンディング市場最高の購入者数と購入金額だそうです。
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当初は2020年の5月に納品されるという約束だったそうですが、
6月になっても送れるという連絡もなくて、何か活動報告もないまま製品が届かないという事態になったため、支援者たちがサイトにいつ届くのですか、どうなっているんですかと不安になって書き込みをするようになりました。
そこではいったん、6月の中旬に届きますよと回答があったものの、7月になっても8月になっても9月になってもなかなか届かず、支援者がプリンキューブに問い合わせてもキャンプファイアに問い合わせても十分な説明が得られなくて、
おとさたがなくなって不安になった支援者が、ツイッターなどのSNSで他の支援者と情報交換をするようになっていったという経緯があったようです。
そして半年以上たって次第にやっと届きましたという人も増えてきた一方で、プリンターは届いたけどインクが届かず使えない、製品が届いたと思ったら初期不良だった、
交換などのメールを送っても全然答えが返ってこない、年が明けたのに製品が届かないと不安を通り越して怒りを感じる支援者の声が上がるようになりました。
2万人以上の支援者のうちどのくらいの人数の方が不安な思い、嫌な思いをしたのかはわかりませんが、キャンプファイアでは合わせて月に10億円以上の支援金が集まることもあるそうなので、同じように不快な思いをする人がいなくなるように対応してほしいですよね。
募集から1年以上が経過した2021年4月。現状がどうなっているのか、どんな対応をしているのか、この番組でもキャンプファイアに質問を投げかけてみました。しかし、この取材の申し込みに対して1ヶ月以上経っても残念ながら何の連絡もいただけませんでした。
今回のトラブルを見ていても、キャンプファイアに連絡したけど全然答えが返ってこないって訴えている支援者の声はかなり多いんですよね。もし途中で納得のいくような説明があれば、ここまで多くの方が不信感を募らせることはなかったんじゃないかなと思ってしまいます。
この番組で投げかけた質問に答えることが難しかったとしても、こういう理由で今はコメントできないとか、少しでも説明していただければよかったなって思います。誠意を持って対応していただけなかったことがとても残念です。
今回のプリンキューブのトラブル、原因はプリンキューブ側にもキャンプファイア側にも両方にあると思います。
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プリンキューブ側は明らかに生産体制や支援者への対応の体制が整っていないように見えます。
これまでにないような魅力的な製品が生み出せたのは素晴らしいことですが、目標額が100万円だったにもかかわらず、3億円以上の支援金が集まって嬉しい悲鳴となってしまったのでしょうか。
いきなり生産体制や人員を補充するなどの現実的な対応が全くできていないように思います。
クラウドファウンディングを募ったキャンプファイア側にも問題がないとは言えないのではないでしょうか。
プリンキューブに人気が集まった背景には、キャンプファイアによるインスタグラムやフェイスブックへの大量の広告出向もあったようです。
生産体制をきちんと審査せずに広告をたくさん出向して、製品が届かなくても支援者には直接プリンキューブ側と交渉してねと促すだけというのは、ちょっと無責任だと言われても仕方がないと思います。
今後も同じようなやり方をしていけば、思ったよりも支援が集まりすぎてしまった、予定通りの出荷ができないという同じトラブルが起こります。
こうした事態にならないためには、審査を厳しくする、生産体制や事業者の規模に応じた広告出向をする、納品が遅れる場合には間に入ってトラブルにならないようにフォローアップを行うなど改善できる点はいくつもありそうです。
SNSでは、規制がなければ詐欺の温床になってしまうのではないかといった厳しい声も飛び交っていましたが、現在はどんな状況なんでしょうか。
消費者庁を取材しました。こんなリサーチ結果があるそうです。
全体の4分の1に当たる25%の人が、リターン時期が遅れた、活動報告がない、リターンの内容が説明と違った、もしくはリターンの内容が変更されたなど、今回のプリンキューブの支援者が訴えているトラブルと同様のトラブルに遭遇しているというのです。
トラブルの件数自体を実際に統計データでとっているわけではないそうですが、利用者は2019年と2020年で大幅に増えているそうです。
この利用者の急増に伴ってトラブルも増えている可能性が高いために、消費者庁では大手のクラウドファウンディング会社の方々とも実際に会って意見交換されているということです。
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消費者の立場からトラブルに巻き込まれないためにはどうしたらいいのか聞いてみました。
クラウドファウンディングは出資であって、普通の通販とは違うということを忘れないでください。
本当に出資して大丈夫なのか。
それを見極めるつもりで、プロジェクトの実行者がどんな事業者なのか、信用できるのか、過去の実績とかSNSの口コミとかを参考によく検討してください。
焦って支援はしないで、その事業者が初めてプロジェクトをするような場合は、プロジェクトの背景を見てリターンが実行可能なのか考えないといけないということでした。
もしビジネスで新たなプロジェクトに出資をするような場合、相手の言い分だけを聞いて、ろくに自分で調べないでお金を出すなんていうことは絶対しないと思うんですが、
私がクラウドファウンディングを利用したときは、早く支援した限定何名までは半額急がないと、みたいな気持ちになってしまって、過去の実績を調べようなんて全く考えもしませんでした。
利用者としてもネットショッピングとは違うと、ちゃんと心構えをしなくてはいけませんね。
ちゃんと事前に調べて支援したとしても、リターンが届くかまでは予測できない場合も多いと思います。
では、もしトラブルに巻き込まれてしまったら、どこに相談すればいいのか。
それを聞くと、一番身近な窓口は消費生活センターだそうです。
消費生活センターでは、事業者の連絡先がわからない場合、代わりに調べてくれたり、一般的な法律の知識に基づいたアドバイスをしてくれるそうです。
次に何をすればいいかわかるっていうのは、すごく心強いですよね。
今回、SNSの様々な声に耳を傾けて、多くの方が支援したい、応援したいという全員からクラウドファウンディングに参加されていて、
そこで製品が届かないなどトラブルに巻き込まれてしまうと、お金の経済的なダメージよりも精神的なダメージ。
ポジティブな気持ちでお金を払ったのに、なんでこんなことになっちゃったんだっていうのがすごく大きいんだなというふうに痛感しました。
消費者庁の方からは、普通の買い物ではなくて、出資なんだからきちんと事前に調べる。これが大事なんですよというお話がありましたが、
私自身もネットでお買い物をする時、そういう時の方がむしろ口コミとかよく調べていて、値段の比較とかもしていて、
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クラウドファウンディングの時の方が逆に何も調べずに、歌い文句を信じてしまったなという、大いに反省しなければいけないなというふうに思いました。
クラウドファウンディング自体が比較的新しいサービスなので、トラブルに巻き込まれた時に、どこに相談したらお金が返ってくるのか、どう対応したらいいのかなど、情報がとっても少ないんですよね。
それがやっぱり、皆さんの不安感に拍車をかけたのかなと思います。クラウドファウンディングの運営会社には、ぜひとも支援者の質問に積極的に答えたり、不安を解消するような取り組みをしていってほしいなと思いました。
この番組では、今後もトラブルの行方を見守っていこうと思います。もし、こんな方法で解決したとか、情報をお持ちの方がいましたら、他にも同じような問題を抱えている方の役に立ちますので、ぜひ情報をお寄せいただければなと思います。
また他にも、こんなトラブルにあって困っている、詐欺かもしれないなど、番組で調べてほしいことがありましたら、ぜひご連絡ください。番組の詳細欄にあるリンクよりお願いします。
思わぬトラブルにあって困ったなと思っていた方、そして、これからクラウドファウンディング支援してみようかな、興味あるんだよなという方、この番組がお役に立つでしょうか。ぜひまた次回お会いしましょう。
お相手は竹村由紀子でした。
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