1. サイエンマニア
  2. 超高速の分子を追え!全てはレ..

#科学系ポッドキャストの日 テーマ「未解決」 1周年特設ページでは参加番組まとめやプレイリストを掲載中! https://scien-talk.com/sciencepodcastday/

今月のホストはサイエントークです。

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英語でサイエンスしナイト


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研究者レン from サイエントーク

化学と生命科学が専門のおしゃべり好き研究者。サイエンスをエンタメっぽく発信するために様々な形で活動中。ポッドキャスト「サイエントーク」ではOLエマと共に番組を制作中。

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Summary

今回のエピソードでは、あさみさんは美術館での保存と修復の仕事について話しています。美術作品を保存するためには、科学者が活躍する場面が多くあります。また、新しい画材についての課題についても取り上げられています。主人公は美術館で働きたいと思い、レーザーの研究を始めました。具体的には、超高速レーザーを使った分子動力学の研究を行っています。この分野では、まだ解決されていない問題が多くあります。物理化学の研究に興味を持っていたことや、レーザーの研究が美術館で働くために役立つことなども話されています。この研究では、超高速レーザーを使って液体中の分子の動きを観察しています。液体中では、分子同士が非常に接近しており、他の分子の影響を受けやすいため、観測が難しいです。しかし、レーザーを使うことで、分子の動きを追えるようになります。また、光で分子の状態変化をトリガーする研究についても話されています。

00:04
Speaker 1
こんにちは、レンです。サイエンマニアはあらゆる分野のゲストを招き、ディープでマニアの話を届けるポッドキャストです。今回のゲストは、ポッドキャスト
英語でサイエンスしないとから、あさみさんです。よろしくお願いします。よろしくお願いします。はい、今回は科学系ポッドキャストコラボということで、最初にあさみさんの方から自己紹介お願いします。
Speaker 2
えっと、さっきほど紹介に預かりました。英語でサイエンスしないと、略してエーサイナイトでポッドキャストをやっています。あさみです。
科学系ポッドキャストの合同企画には、私たち新米ポッドキャストだったのにも関わらず、結構最初の方から
関わらせてもらっていますよね。ああ、そうですね。2回目か3回目ぐらいから確か参加した気がします。
Speaker 1
そうですね。ちょっと今回のエピソード、実は毎月ちょっと恒例になりつつある。そうですね。科学系ポッドキャストの日という企画がありまして、
毎月10日にかけてサイエンス系のポッドキャスターが共通のテーマでおしゃべりしようっていう、そういう企画があるんですけども。
Speaker 2
すごい良い企画です。そうですね。ありがとうございます。そうですねって自分で言っちゃった。いやいやいやいや。毎回結構楽しいし、テーマが出してくれるポッドキャストが毎回変わるのも、思考が変わって楽しいし。
Speaker 1
そうなんですよね。11月で、これ出てるの11月なんですけど、ちょうど1年前にサイエントークで発明っていうエピソードでしゃべろうみたいな、やったんですよ。
で、そん時は毎月続かなくて、そんなに。確かにそうだったかもしれない。そうなんですよ。1回、わーいって言って、まあまあ楽しかったね、つって1回終わったんですけど、今年に入って、僕以外、僕ら以外の番組の方が、テーマ出していいですか?みたいな感じで言ってくれるようになって。
Speaker 2
増えましたしね。
Speaker 1
はい、すごい増えましたね。もう今、20番組とか参加するような感じになってて、すごい嬉しいなっていう感じなんですけど、どの回から参加します?2回目ちゃんと。
Speaker 2
2回目じゃないかもしれない。論文の回から、確か参加しています。
Speaker 1
あー、論文の回、ありましたね。
Speaker 2
そうそう、あれもかなり、科学系ポッドキャストならではのテーマの選び方だったなと思って。いや、普通の人、そんな論文に思い入れないじゃないですか。
Speaker 1
いや、そうっすね。論文で30分しゃべってって言われても、結構きついですよね。
Speaker 2
しかも、ちょうど私たちの場合はタイミングがいいことに、論文のアクセスとかの倫理みたいなことを扱った別のポッドキャストがタイムリーに流れてきてて、
お、もうこのポッドキャストの完走大会でもいいじゃんって思って便乗しました。
Speaker 1
いいっすよね。どんどん便乗するのがいいと思ってて。
Speaker 2
いい、それはポッドキャストの楽しいところですよね。あんまり気にかけずに便乗できるっていうか、まだまだ霊命気な感じがするので、特に日本語のポッドキャストは。
Speaker 1
で、やっぱり人によって全然違うことしゃべるから面白いなっていう。
Speaker 2
そうですね。毎回仲間に入れてもらってありがたいです。
あさみさんの美術館での仕事
Speaker 2
あと、ちゃんとコンスタントに出すモチベーションにもなるので。
Speaker 1
いや、そうっすね。ちょっとみんなやるし、やるかみたいな。
Speaker 2
本業忙しくなっちゃうとね、研究職は忙しいので、本業が忙しくなっちゃうとどうしても後回しになっちゃうんですけれども。
Speaker 1
エーサイナイトさんは、だからあさみさんがもうゴリゴリに研究者で。
Speaker 2
いや、私はまだまだポス独です。なので、気分的には社会人1年目です。
Speaker 1
いや、でもポス独で研究してるのすごいなって思いますね、やっぱり。今はもう香港にいらっしゃるってことで。
Speaker 2
そうですね。今、香港の美術館でサイエンティストとして働いています。
Speaker 1
美術館でサイエンティスト。
Speaker 2
そうなんですよ。今、ちょっと博論の頃、やっていた頃とは専門を変えていて、美術館で、でもそもそもやりたかったことはこっち方面で、
美術館で保存とか修復とかを実際にするのではなくて、保存修復士の方のお手伝いをするために、いろんなFTIRだったり、ラマンだったり、かけたりする。
Speaker 1
もう専門用語出てきました。
Speaker 2
出てきちゃいましたね。
Speaker 1
僕は文工スペクトルみたいな、測定法ですよね。
Speaker 2
そうですね。レンさんも化け学画バックグラウンドだから、私とは近いはずなんですよ。
私は物理科学なんで。
Speaker 1
全然違うことやってると思いますけどね。
Speaker 2
確かに。私も最後に有機化学ちゃんとやったの、大学の学部の頃なので、だいぶお久しぶりなんですけど。
Speaker 1
いや、ちょっと科学広すぎて、そういう、僕やってるのに一切美術関係しなさそうだし。
Speaker 2
でも結構、思ったよりサイエンスな一面もあるんですよ。
特に私のやってた物理科学っていうのは、基本的に私の研究は、UVを当てたら、この分子にどうなるんだろう、何が起きるんだろうっていう研究だったので。
UVの光線ですね。
紫外線を当てるとどうなるんだろうっていう研究だったので、紫外線でやっぱり作品もダメージを受けるんですよ。
Speaker 1
確かに。
Speaker 2
外に置いてあったり、ギャラリーにあって、直射日光が当たる場所にあると、普通の家でもポスターとか剥げてくるじゃないですか、色が。
Speaker 1
図書館の昔から置いてある本とか結構色落ちしてきますもんね。
Speaker 2
そうそう、表紙とかがだいぶ色落ちしてきたり、紙がボロボロになってきたりするので、
これを何億とかするアートの作品に起きてはいけないことなんですよ。
Speaker 1
確かに、これから先も残していかなきゃいけないから。
Speaker 2
今見れる、今感動できるピカソとかモネとかゴホとかは、100年後の人類にも感動してもらいたいんですよ、同じクオリティで。
Speaker 1
そっか、それ面白いな。
Speaker 2
私たちが頑張って、できるだけ良い保存状態で光線に伝えられるようにっていうのもありますね。
そういう分野です。
Speaker 1
目的がむちゃくちゃかっこいいですね。
Speaker 2
日々はお分かりかと思いますが、研究されてる方は日々はめちゃめちゃ地味ですよ。
Speaker 1
ひたすらちょっと配合を変えてみたいのを想像しますけど。
Speaker 2
そういう結構ウエットな科学をやってる方もいれば、私みたいにちまちま顕微鏡を組み立てたり、
光を作ったり、いろんなスペクトルかけたりしてる人もいるし、いろいろなんですけれども。
日々の生活は地味だけど、ちょっとかっこいいことを言うとそういう感じですね。
将来の人類のためにアートの価値をできるだけそのままにしておくとか、
どうしても手を加えて修繕しなきゃいけない時は、
実際の原材料はどういうものを使っていたのかとかいうのも、できるだけ作品を痛めないでサンプルできるようにしたり、
もはやサンプルしない非侵襲的な方法でできるだけ原材料の特定とかをするようにしたりとか、
そういう意味で結構科学者が活躍できる場面が多いんですよね。
みんなが知らないだけで。
Speaker 1
素人手を出したら一瞬で壊れて、書き直しもできないしみたいな。
Speaker 2
もう書き直せないし、作り直せないし。
いや、本当にそうで。
しかも意外と古いアートだけじゃなくて、新しい、いわゆる近代アートとか現代アートと言われる、
まだ作家がご存命なぐらい新しいアートとかって、
素材が、たとえば16世紀のホランダの絵画だったら、使ってるものなんて割と限られてるんですよ。
絵画やアート作品の保存
Speaker 2
みんな知ってて、これ、赤はこの色素で、青はこの色素で、ベースはこれで、みたいな大体決まってて。
でも今の時代って、もう何でもありなんですよね。
Speaker 1
その辺のゴミ拾ってきてアートにしてきた人とかもいるし。
人工線量みたいな、使える道具の数が全然違いますよね。
Speaker 2
意外と、最近できてきたアクリル絵の具とかって、そっちの方が光に弱かったりするんですよ。
何千年も昔から人類が使ってる赤の色素とかよりも、ホラーナの壁とかに残ってる赤の色素って今でも使えるんですよ。
今でもそれを売ってる会社はあるし使えるんですけど、そうじゃない新しくできたアクリル絵の具とか新しい画材って、
意外とたくさん化学の話をすると、すごい環状のリングがいっぱい連なった分子構造をしていて、
すごく紫外線のダメージを受けやすい分子の作りになっていたりして。
Speaker 1
うわ、その辺めちゃくちゃ聞きたいことまみれな気がしますよ。
Speaker 2
いや、そうなんですよ。絵の具ってすごい難しい。
Speaker 1
たぶん絵の具だけでめちゃくちゃ語れる可能性がある。
この色素とか、たぶんそれも絵を保存するっていう目的のためだったら、たぶん本当に一部だとは思うんですけど、
Speaker 2
色彩を残すっていうことと、あと形残すとか単純にあると思いますし、
Speaker 1
たぶんいろいろありますよね。
Speaker 2
写真とかだと銀の塩とかの、写真は写真でまた別の薬剤使ったりしてるし、
彫刻とかだったら外に置いてあるのに、大理石とかで作ってたりするから、もうダメージ受けまくりで。
Speaker 1
晒されてるのはありますからね。
でも昔の人がそこまで耐久性とか考えられるわけでもないから、
Speaker 2
その通りです。
Speaker 1
それを現代でどうするかみたいな問題、割といろんなとこで耳にする気はしますよね。
Speaker 2
そうですね。
Speaker 1
これたぶんもう、ちょっとだいぶ本題入ってますけど、
これも今日、面白い予感しかしない。
Speaker 2
スムースなトランジションで。
スムースなトランジションで入ってるんで。
Speaker 1
で、言い忘れてましたけど、今回一応テーマが未解決っていう共通テーマの企画になってまして、
Speaker 2
よっ、未解決。
Speaker 1
今んところ、でも残す方法みたいなものも、
ちょっと僕全然どれぐらいの解決度合いなのかというか、
そもそも最先端の守る方法とかわかってないですし。
Speaker 2
その分野も、でもいろいろありますね。
いろんな手法だったり、信念っていうかポリシーだったりとかは、
守りに入るか攻めに入るかみたいな感じですね。
そのチョイスとして、保存っていう一つのアクションをするときに、
アグレッシブに保存していくと、原型をとどめる可能性は低くなるかもしれないけど、絶対守られるとか。
それとも、弱めに守るけど、できるだけ原型の状態をとどめた時間を長くしようとか。
いろいろアプローチとかは、でもサイエンティストが決める話じゃないんですよ、それって。
アーティストの財団だったり、アーティストの遺族だったりとか、
キレーターだったり、美術館の別な人が決めるので、サイエンティストにそういう権限はないんですけれども。
まあ、未解決っていうテーマをもらったときにですね、ちょっと雑なテーマだなって一生思っちゃったんですよ。
だって、私たちがやってること全部未解決じゃんって。
Speaker 1
いやいや、そうなんですよ。でも、これ未解決って考えたの僕なんですけど。
Speaker 2
いやいや、大きすぎますよ、テーマが。
Speaker 1
いや、なんか出した側から、そうそう、今月のホストは実はサイエントークで、
ちょっと今これ、それをサイエンマニアで喋るっていう自作自演みたいなことをやってるんですけど。
でも、割と抽象的なテーマがいいかなとは最初から思っていて。
Speaker 2
いやいや、大きいのは素晴らしい、いろんな食いつき方があるので、いいと思います。
Speaker 1
そうですね、レイヤーはもう、あとはホストに任せようみたいなところではあるんですけど。
多分、研究者が未解決っていうと、一般の人が思っている未解決とレイヤーが違うと思うんですよ。
Speaker 2
そうですね。
Speaker 1
一般の人は、もうこれって解決してるよねっていう問題でも、研究者に言わせたら、いやいや、それまだ未解決だからみたいなことって結構あるかなと思ってて。
Speaker 2
いや、もうほんとそればっかりですよね。
Speaker 1
ですよね。で、そこを掘り出すのが、本当になんか分野のディープなところに触れられるみたいな感じがするんですよ、未解決っていうワードで。
Speaker 2
そうですね、そうですね。
Speaker 1
っていうのを自分に聞かせて出しました。
Speaker 2
っていうフォロー、っていうフォロー。
いや、でも最初に聞いたとき、未解決って幅が広すぎるよって思って、どれぐらい突っ込んだ話をしようかって、まさこさんと、私のポッドキャストの一緒にホストをやっている方と、
え、だって全キャリア未解決じゃんって思って、どうしよう。
Speaker 1
なんか申し訳ないな、これ。いろんなところで未解決どうしようっていう会話生まれてる気がする。
美術館で働くためにレーザーの研究を始める
Speaker 1
生まれてましたね、生まれてましたね。少なくとも私たちの中では、いや、だって未解決だから私たち給料をもらってるわけだし、みたいな。
Speaker 2
まあ、でもそういうこともいろいろ考えたのですが、今回のトークにはもうちょっと具体例を出したほうがいいかなと思って、
私の今やってることではなく、博論の、かつて撮ったばっかりなんですけど、この5月に。
博論の頃、毎日頭を悩ませていた未解決について、れんさんとシェアしたいなと思います。
Speaker 1
そうか、さっきまでの美術の話とはまた全然違う話でしたね。
Speaker 2
そうなんですよ、ちょっとだいぶ方向転換して、すごくすごく基礎を研究に振っていきますが、準備はよろしいでしょうか?
Speaker 1
あ、もうなんか怖いな。大丈夫です。
ちょっと、その流れかわかんないですけど、一番最後に、今の美術保存の未解決もチラッと聞きたいですね、最後に。
Speaker 2
わかりました。いっぱいあるので、思いついたものをシェアしますね。
Speaker 1
時系列でいきましょう。
Speaker 2
じゃあ、時系列でいくと、その博論を、そもそも博士号のラボを選ぶときに、すでに私は美術館でいつか働きたいっていうビジョンは出来上がっていたのですね。
で、ただ、何でもいいから博士号を取ってこいって感じだったので、どんなスキルを持ってきたら美術館に雇ってもらえるんだろうかって考えたときに、
やっぱりこれからの時代は、出来るだけ作品をサンプルしないでも、材料とかを特定できるスペクトル系、文工スペクトル系が強いなって、学部の赤ちゃん研究者なりに考えたんですね。
これからの時代はレーザーだと。
Speaker 1
いや、でも結構考えてますね。結構考えてる。
え、ちょっとでもそもそもその美術館に行きたいなというか、それは何、理由は何なんですか?
Speaker 2
さらに時系列を戻しますと、3年生ぐらいのときですね、学部の3年生ぐらいのときに私、大体みんな私のいた学校では2年生、早くて1年生ぐらいからもうラボに所属し始めるんですね。
仮、仮みたいな感じ。ただ私は学校の、規模が比較的小さかった学校というのもあるんですけれども、あんまり研究で面白いなって思うラボが学校内になくて、アドバイザーの先生と一緒に話していたときに、
うーん、それなら、近所に他に大学あるし、いろんな人のところ見に行きなよって言われて、なんか紹介されたところにふらふらっと行ったら、そこがたまたまレーザーのラボだったんですね。
Speaker 1
はいはいはい。
Speaker 2
ああ、なんか楽しそうだと。で、アドバイザーの先生もすごくなんかノリノリな感じで、ちょうど今生徒欲しいと思ってたんだよねみたいな感じで、なんかタイミングが良かったので、まあじゃあここにしましょうみたいな、なんかどんな研究するとか考えずに、なんかとりあえずラボって研究ってどんなもんなんだという、なんかもう味見する感じで完全に入ってったんですね。
いや、まあ最初だって考えてもわかんないですよね、実際。
いや、そうなんですよ。だってやってみなきゃわかんないじゃないですか。
Speaker 1
そう、結局わかんない。
そう。で、でも入ってすぐ、いや、僕の友達がね、あのちょっと学生が欲しいって言ってるんだけど、君美術館で働く気はある?と聞かれ、
急展開ですね。
Speaker 2
あれ?レーザーのこと学ぶつもりだったんだけど、美術館楽しそうって思って、じゃあ行きますって言って、行ったところがメトロポリタン美術館だったんですよ、ニューヨークの。
Speaker 1
おお、はいはいはい。
Speaker 2
で、実はメトロポリタン美術館ってあの地下にものすごい大きいラボがあるんですね。
Speaker 1
ええ、そうなんだ。
でも美術館結構あるのかな、ラボ。だいたいラボついてるんですかね?
Speaker 2
いやいや、ないです。
Speaker 1
レアですか?
Speaker 2
なんだろう、やっぱりラボを運営するのって資金がかかるので、めちゃめちゃ大きい美術館しか基本的には機材が揃ってる、がっつりサイエンスできるところはあんまりなくて。
分子動力学の研究と未解決
Speaker 1
そんながっつりラボがあったんだ。
Speaker 2
そう、一通り有機でできる、一通り全部揃ってて、グローブボックスとか、IRラマン、XRF、もう一通り、NMRは近所の大学まで行かなきゃいけなかったけど、もうないのそれぐらいで、一通り揃ってるんですよ、結構立派なラボがありまして。
それで、そこでプロジェクトをさせていただいて、それをゆくゆく私の学部の卒論にしたんですけれど、それを楽しかったので、こういう仕事がしたいと、あなたたちみたいな仕事をやってみたいと言って、どうやったらそんな仕事をゲットできるんだって、アドバイザーの人とか、一緒に手伝ってくれたポスドクのお姉さんとかに聞いたら、
とりあえず博士号だね、ということになって。
Speaker 1
それで何でもいいっぽい感じになったんだ。
Speaker 2
そう、それで博士ってどんな、みたいな、いや、なんかナチュラルサイエンスだったら、科学だったり物理だったり、若干遠くなるけど生物でもいいよ、みたいな、とりあえず一人前のサイエンティストになってから、来いと言われ。
広すぎるな、ナチュラルサイエンス広すぎる。
ナチュラルサイエンスは広い分野なんですよ。
一応学部のメジャーは、専攻は、ケミストリーだったので、まずはケミストリーで探そう。そこで、これからはレーザーがやりたい、レーザーが一番美術館で雇ってもらえるんではないかと考え、物理科学系のものを、ラボを探していたんですね。
Speaker 1
それで戻ってきたんだ。
Speaker 2
そうです。だから、ちょっと長いプランになりましたが、一周して戻ってまいりました。
Speaker 1
すごいキャリアですね、なんかその。
Speaker 2
なんかすごいめちゃめちゃプランしたように、なんか聞こえるんですけど、今言うと。実はだいぶ行き当たりばったりでして。
Speaker 1
いやでも結果的に最初にレーザーを選んだのも、間違ってはなかったみたいな。正解だったってことですよね。
Speaker 2
そうですね。私結構有機も、実験とかは好きだったんですけれども、有機化学とかのそのなんだろう、割と化学らしい化学みたいな、合成とか、そのいわゆるケミストリーみたいな分野は好きではあったんですけれども、お勉強のほうはそんなに楽しいと思ったことがなくて、実験は楽しいけど、座学があんまり楽しくない。
それに比べて、
Speaker 1
そこ別ってのよくありますね。
Speaker 2
そうですね。それに比べて、実験はそんなに面白くないけど、座学はめっちゃ面白いって思ったのが、物理化学のほうで、量子力学とか、熱力学とかをやって、
こっちのほうがコンセプトとしては楽しい、面白い、でも実験ではまだ楽しいところにたどり着けてない気がするっていう感じがして、学部のときにできる物理化学の実験ってそんなに大したことできないじゃないですか。
Speaker 1
いや、そんなイメージはありますね。とりあえずちょっと使わせてもらえる機会使ってデータ取るイメージはありますけど。
Speaker 2
そうそう、あんまり楽しくなくて、でもちょっと研究をかじったおかげで、これからやることとしてレーザーはめちゃめちゃ楽しそうだっていう味見はできていたので、じゃあレーザーやろうって。
Speaker 1
すごい良いですね。レーザーへの敷居が下がってたんですよ。
Speaker 2
だいぶ、そうそう。やったことなかったくせに、敷居だけは低かったんですよ。やったらできる気がしてて。
Speaker 1
いやー、でもその美術館からレーザーへの流れはすごいなと思いますけどね。
Speaker 2
そうですね、わりとわりと私の中ではナチュラルなステップでしたね。
Speaker 1
いや、言われてみたら、分析とか美術系のにもサイエンスの要素を取り入れていろいろやろうっていうのは言われたらわかりますけど、大学にいるときにそのパスは見えないですよね、なかなか。
Speaker 2
なんか、わりと自分の興味の向くままにやらせてほしいとか、周りに言いまくってたら、タイミングいいところでこういうのはどうっていうお声がかかったっていうパターンが多いんですけど、
とにかくそれで博論の方は全然美術とは関係ないラボに入ったんですね。
っていうのも、あんまり美術のことは博士論文で知ってる必要はないと、美術史を知ってる必要はないから、
とにかく一人でちゃんと研究を1から10までできるサイエンティストになってからじゃないと美術館では働けないと言われていたので、
Speaker 1
そういう証明としての博士課程。
Speaker 2
そうですね、その中だから私5年間資格試験やってたみたいな感じなんですよ。
気持ちとしては。
Speaker 1
資格ですからね、ちゃんと国際的な。
Speaker 2
そうですね、なんで。
じゃあ、レーザーをやろうってなったときに、ここに行きたいと思った大学で実験系のレーザーをやっているところ、ラボがそもそも2つか3つぐらいしかなくって、
その中から教授との相性だったり、実際のリサーチへのクエスチョンだったりで選んだところが博論を取ったところなんですけれども、
Speaker 1
そもそもレーザー素人すぎて、レーザーの研究のイメージが全く湧いてないですね。
化学の発展とレーザーの役割
Speaker 2
物理科学っていう分野の中でレーザー、特に私が使っていた超高速レーザーを使う場合は、
だいたいモラキュラーダイナミックスっていう分野に入っていることが多いんですね。
それが今回の未解決で、いわゆる。
Speaker 1
日本語だと分子動力学みたいな。
Speaker 2
動力学なのかな。
とにかく分子の動きと時間の経過を両方見るっていう分野ですね。
分子の構造が変わっていく様子を追うっていう分野なんですね。
ちょっと面白いなって、一番最初にこの分野のことを知ったときに思ったのが、
化学って19世紀ぐらいから近代的なものになってきて、割と発達してきて、
これとこれ混ぜたら何かできるぞみたいなところから、どんどん洗練されたものになっていったわけじゃないですか。
こうするともっとピュアなものができるとか、そのピュアなものを作ったっていう証明ができる、こんなすごい検知する機械ができるとか、
だって一つの分子を特定できるのって、割と簡単にできるじゃないですか、今の時代。
ものとか状態にもよりますけど、
シングルマラキルって、それがちゃんと検知できるって、ものすごい進歩じゃないですか、化学の。
Speaker 1
昔の文献とか読んでると、本当に今見れる分子のスナップショットとか見せてあげたいなって思うぐらいに。
本当ですよね。
めちゃくちゃ綺麗に見えたりしますよね。
Speaker 2
そうなんですよ。
なんで、長年かけて、2世紀ぐらいかけて、何から始めて、Aから始めてBに移るっていう、
それがどんなAから始めたら、どんなBになるのかとか、どれぐらいのBができるのかとか、
Bの他にもCとかDとか、他のものができちゃうのかとか、
いうことはすごい、ここ2世紀ぐらい、化学が頑張ってきた分野じゃないですか。
Speaker 1
そうですね。
Speaker 2
でも、その間に起きてることって、とてもとても裏付けされた、長年の研究に裏付けされた、かなりスマートな想像じゃないですか。
まだこう、ビッグなクッションマークですね。
理論ですよね。
理論じゃないですか。
その間を見るのって、本当にここ30年か40年ぐらいまで、そもそもそれが可能な技術がなかったじゃないですか。
よっぽどすごくゆっくりできるリアクション、反応だったりとかだったら、
人の目とか何かで何秒置きぐらいだったら追える反応もあるかもしれないけど、
基本的に私たちがよくやる反応って、一瞬で何かが変わるわけじゃないですか。
ミリ秒とかそれ以下で変わるので、
人の目じゃ見れない、その経過はだいぶクエスチョンマークだったわけで、
それをちゃんと理論から実験に落とし込めるようになったのが、この超高速レーザーのおかげなんですね。
Speaker 1
そうっすよね。
僕こういう話よく聞くときにいつも思うのが、ジョジョの奇妙な冒険ってわかります?
Speaker 2
あの、存在は知ってます。
Speaker 1
存在は知ってる。
その中に、そんな詳細に説明しないですけど、キングクリムゾンっていう能力があって、
時を飛ばせるっていう能力なんですよ。
これも漫画の話なんですけど。
Speaker 2
時を飛ばせる、すごい。
Speaker 1
時を飛ばせるで、これちょっと急に漫画の話なんですけど、
それを使った人は周りの時をすっ飛ばして、で、他の人はそれを認識できないと。
で、自分だけが動けて、で、もっかい時が動き出したら、その結果だけが残りますみたいな。
そういうのがあって。
Speaker 2
特殊相対性理論を飛び越えられるってことですかね。
Speaker 1
あー、そうですそうですそうです。
すごいすごい。
言ったらそういうことです。
超高速レーザーによる分子動力学
Speaker 1
自分だけが別次元に一旦移って、戻ってきて、攻撃したら、その攻撃した結果だけが残るみたいな話があって、
っていうのがあるんですよ。
で、もう残るのは結果だけだみたいな。
その漫画を通して言いたいのも、敵が使う能力なんですよね。
敵は結果が全てだっていう敵で、
味方はいやいや結果だけじゃなくて、そこに至るまでの過程が大事だっていう対決なんですよ。
それがすごい熱いんですけど。
Speaker 2
熱いですね。ちょっと私もジョジョ読もうかな。
Speaker 1
ジョジョの奇妙な冒険第5部、黄金の風邪っていうやつがあるんで、
それに出てくるんですけど、
それはすごい、これ本当に科学だなと思って。
やっぱり結果が出てくるのは、結果は見えるけど、で、昔の人もずっと結果だけを見てきたっていう歴史があって、
で、現代になってやっとその吸っ飛ばされた時の中を覗けるようになったというか、
Speaker 2
そうなんです。
Speaker 1
そう、至る過程が大事だよっていうのに気づいたっていう。
Speaker 2
なかなかかなりレアなケースじゃない限り、
AからBに移る途中のものをアイソレートして分析してっていうのは、
もうかなりレアなケースじゃないと、かなりラッキーなケースじゃないとできないじゃないですか。
もう見つけたよだけで論文になるぐらいの新しさじゃないですか。
でも、超高速レーザーで使うことで、
人間では見れないシャッタースピードでものが見れるようになるわけですね。
はい。
で、私が博論をやっていたラボではずっと割とそこに着目して、
機体のガスですね、ガスの分子が紫外線のレーザーを受けて、
その後、何らかのエネルギーを受け取って、旅に出るじゃないですか。
Speaker 1
飛んでいく。
Speaker 2
飛んでいくと。そうそう、飛んでいく様子をエネルギーを受け取って、
例えばエクサイトして、違うAからBに移っていったり、あるいはAからCに移っていったり、
その過程を直接的にはではないんですけれども、
それがその過程で起こるシグナルみたいなのをちょっとずつ見ていくことで、
どうなってるのかなっていうのを想像だけじゃなくて、実験でデータで数値として見るっていう、
Speaker 1
すごい面白いですね。似たような話をサイエントークでちょっとしたことが多分あって、
ちょっと機体とは違うんですけど、光の進む先端って見れるのっていう話をしたことがあるんですよ。
Speaker 2
ショックウェーブとかのあれですね。
Speaker 1
ショックウェーブというか、本当に光が進んで鏡に当たって反射する様子って早すぎて普通見えないじゃないですか。
だけど、多分似たような技術だと思うんですけど、レーザー使ってものすごいシャッター切ってやると、
ぶつかって反射する光が見えるみたいな、それって結構感動的で、見たいのに近いですよね。
Speaker 2
コンセプトとしてはめちゃめちゃ近くて、それを鏡じゃなくて分子に当てることによって、
レーザーで分子を当てるのの何がいいかって、レーザーってすごく形が決まっていて、
どれぐらいのエネルギーがパルスに入っているかとか、どれぐらい明るいかとか、
こちらである程度決められるんですね。ちゃんとレーザーの面倒を見ていれば。
だから、毎回毎回パルスが分子に当たるときに、同じ、全く同じスターティングポイントを作れるんですよ。
それだから、1秒間に5000回とか当てて、たくさんの統計をとることができるんですね。
だから、たまにしか起きない出来事なんじゃなくて、それを何千回もやることによって、アベレージを出せるんですよ。
それって、液体とかだとすごく難しいんですね。
液体のものだと、当てたい分子の周りの分子の心配とかしなきゃいけないわけですよ。
他に何がいるとか。
Speaker 1
液体って基本的には分子同士がくっついてて、割とまとまってる状態ですもんね。
Speaker 2
近すぎて、分子がフリーじゃないので、分子だけの影響を見るのってすごく難しいんですよ。
他のどんなところでエネルギーが露出されてるかわからないから、これぐらいの紫外線当てたけど、実際どれぐらい分子に受け止められたんだろうっていうのは、ちょっとわからないことがあったりとか、こんな若干不透明なエリアがあるんですね。
Speaker 1
そうですよね。分子に色付けれるわけでもないから、どれに当たったんだみたいな感じもありそうだし。
Speaker 2
どれに当たったのかもわからない。
だけど、その点、液体っていうのは、いろんなレーザーに対していろんなオリエンテーションで当たるので、でもそれも何千回とか何万回とかやったらアベレージが出るんですよ。
Speaker 1
それで、アベレージとしての数値を追えるので、かなりアベレージではあるけれども、割と正確なアベレージを追えるんですよね。
だから、ノイズは少なそうですよね。
Speaker 2
そうなんです。頑張ればかなりノイズは減っていくんですね。どんなに小さなシグナルでも、ノイズはどんどんどんどん減っていくので、すごく小さな変化にも気づける。
この小さな変化っていうのがすごいミソで、その小さな変化が分子の構造の、例えばリングだったものがパカッと空いてる。
リングだった時のシグナルとリングが開いた時のシグナルが違う。この小さい小さい誤差にも気づけるんですよね。
Speaker 1
それめっちゃ面白いな。そこまで詳細にわかるんだ。
Speaker 2
それをさらに時間軸を、例えば100フェミト秒とか50フェミト秒、それぐらいのすごく小さい時間軸の物差しで見に行けるので、
例えばリングのものがちょっとずつパカパカって開くのを様子を追えるんですよ。リアルタイムで。
Speaker 1
それめっちゃ面白いな。
Speaker 2
そうなんですよ。分子にとって必要な、分子にとって意味のある時間軸の中で、その分子の変化を追えるっていうのが、この超高速分子動力学のミソですね。
液体中の分子観測の難しさ
Speaker 1
これって空気を用意するわけじゃないですか、空気とか機体。その機体を用意する時はどうやってるんですか?
Speaker 2
それ以外の実験がめちゃめちゃ大変なので、機体の準備は基本的にベンダーさんに任せておりまして。
ガスを買ったりとか、すごくボラタイルなめちゃめちゃ臭い液体とかを買ってきて、ヒリウム流して、その分子ピックアップしたヘリウムをキャリアとして使って、
Speaker 1
ヘリウム流して、それをレーザーとクロスさせて、反応を見るっていう感じですね。
ヘリウムに無理矢理流させて、目的のやつを。
Speaker 2
そうですね。無理矢理流させて、一緒に結構気化しやすいタイプの液体を使うので、サンプルとしては。
例えば、アセトンとかは、シグナルは弱いけど、サンプルのチューブもきれいになるし、責任帳みたいな感じでよく使うんですよ。
Speaker 1
でも、アセトンもちゃんと見えるんですよね。
Speaker 2
アセトンも見えます。
アセトンも見えるんだ。
あんなちっちゃいのでも見えるんですよ。
Speaker 1
すげえ。あんなに炭素3つみたいなやつでも見えちゃうんだ。
Speaker 2
だけど、アセトンって、UVの紫外線で、すごくオブゾーブションってなんて言うんですか、あれは。
吸収ですか?
吸収、そうですね。吸収率が高いので、200nmとかぐらいになると、吸収率がガンって上がるので、
Speaker 1
最初の紫外線、リアクションスタートの紫外線を200とか195に合わせたら、意外とシグナルが出るんですよ。
アセトンなんてもう、有機化学の実験室だったら触れない日はないぐらい身近なやつですけど。
Speaker 2
そうですね。
Speaker 1
液体の状態のアセトンしか見たことないから、分子のアセトンとか見たら、すごい面白ってなりそうです。
Speaker 2
アセトンは比較的そんな臭くない部類なので、私も良かったです。扱う側としては。
Speaker 1
ちょっと独特な匂いはしますけど。
もっと臭いのは、TMAってなんだ、Trimethylamineって、Nが真ん中にあって。
トリメチルアミンですね、日本語で。
Speaker 2
それですね、Nが真ん中にあって、メチルメチルメチルってやつなんですけど。
Speaker 1
ああ、もう臭いですね。
Speaker 2
あれとかは、もう死んだ魚の匂いしかしないんですよ、本当に。
Speaker 1
アミン臭、いわゆるアミン臭みたいな。
Speaker 2
そうです、いわゆるアミン臭で本当に、それって分子的側面から見ると面白いんですね。
一番小さい3つRグループがあるアミンじゃないですか、一番小さいので。
その後、私たち実験もやるけど、コラボレーターと一緒に理論とも答え合わせしていくので、コラボレーター側としては、小さい分子の方がいいんですよ。
なので、Trimethylamineとかはいい感じのプロトタイプだったんですね。
ただ扱いが臭いっていう。
Speaker 1
逆にもう、機体になりやすすぎて、普段そんなに使わないですね。
Speaker 2
そうなんです、だから普段機体、なんだ、ベンダーから買うと、
Speaker 1
ボンベですか?
Speaker 2
ボンベでくるので、それを一旦液体に、液体窒素使って、冷やして液体にして、サンプルホルダーに入れて、ヘリウムを流すっていう手法を取ってましたね。
Speaker 1
それでもやっぱ臭いんだ。
Speaker 2
でも臭いです。どんなに頑張っても漏れるんで、臭いし、周りの同じフロアの研究室からも、アサミがまたやってるわってなって。
Speaker 1
嫌だな、それ。それ嫌だな、有機系の嫌なところですけどね。
特殊な分子の観測
Speaker 1
臭い出しがちっていう。
Speaker 2
でも、トリメツルアミンは臭いけど、比較的無害なものだったからよかったんですけど、
次扱った、これなんていうのかな、なんか他。
Speaker 1
臭いやつなんだろう。
Speaker 2
臭かったか、なんかだんだん臭いの概念が、あれだったんですけど、クワドリシクランって出てきました、わかります?
Speaker 1
クワドリシクランって検索してみよう。
Speaker 2
日本語名が出てくると思ったら、まんまだったっていうカタカナで。
Speaker 1
これか。いや、でも全然馴染みはないですね。ロケットのエンジンの添加剤なの?
Speaker 2
普通には、そうそう、普通に有機してては使わないと思います。
っていうのは、ロケットエンジンに使われるぐらい、めっちゃ危ないんですよ。
すごい着火しやすいっていうか、爆発しやすいんで。
普通に学生の安全を思うPIだったら、おそらく進んで使う原材料ではないんですけれども、私たちは使いましたね。
Speaker 1
これ使いどころなさそうな分子ですけど、確かに挙動は面白そう。
Speaker 2
そう、挙動はすごく面白くて、太陽光エネルギーとかの変換にこれから使えるんじゃないかっていうのは、
今、もしWikipedia開いてたらわかると思うんですけど、
クワドリシクランが、紫外線当てることによって、ノルボルナジエンになるんですね。
ノルボルナジエンは馴染みがあるな。
ノルボルナジエンは有機でもめちゃめちゃ身近な存在じゃないですか。
あれをつけとくと、2つ安定した構造がある、割とレアな分子なんですね。
ノルボルナジエンとしても安定してる、クワドリシクランとしても安定しているっていう。
なので、安定したエネルギーの違い、ギャップが太陽光エネルギーを貯めたり、オンデマンドでリリースしたりできるのではないかっていうので、
結構注目されている、エナジー業界では注目されているMOSTっていう分類の有機化学材料なんですね。
実用にはもうちょっと遠いんですけれども、2つ安定した構造で、しかも1つの分子じゃないですか。
他に誰ともくっつかなくてもよくて、光だけでオンオフできる。
Speaker 1
めっちゃちっちゃいですもんね、しかも。
Speaker 2
そう、すごくちっちゃいし、そういう意味では扱いやすいんですね。
ただ、結構爆発しがちなので、ロケットのエンジンの推進剤に使えるぐらいには爆発しがちなので、安全性のほうが、しかもこれNASAでロケットエンジンの候補になったわけですね。
他の分子もあって、いろいろスクリーニングした結果、これは爆発しすぎるから危なすぎるっていうことで却下されたやつです。
Speaker 1
そうなの?そんな爆発するんだ、これ。
Speaker 2
なんか、ちょっとした火花とかにも反応しちゃうみたいですね。
だから、放置、何もしないで置いといたら大丈夫だけど、例えば。
引火しやすいってことですか?
引火しやすいんですよ。電気とかの壁の電源のところがパチってなったら、すぐ一緒になっちゃうみたいな。
どうやって壊れたの?
そういう引火しやすい特徴があるので、ロケットに積むのはちょっと危ないかなってなったみたいですね。
分子の状態変化を追いかける難しさ
Speaker 1
でも、面白いな。1個の分子に言ったら情報、2種類の安定な状態って情報をためれるっていう。
Speaker 2
そうなんです。
Speaker 1
今って結構でっかい分子じゃないとできなかったりするから、そういう。
Speaker 2
そう、まさに鋭くって、れんじさん、そこ。
この手の、何だろう、1つの分子で光だけで2つの構造に変えられるっていうのを、1つの。
例えば、これだったらドレシクランからノルボルナジエンに変わる。
他だったら、感情のものからパカッと開いた状態になるとか。
そういう1つの分子で、かつ光でトリガーできる反応ばっかり見てました。
っていうのは、機体で実験してるので、他に混ぜられないんですね。
Speaker 1
そっかそっか、もう1種類でやんなきゃいけないから、そもそも。
Speaker 2
1種類でやらなきゃいけないんです。
私が何も知らない博士英語を入る前の面接の段階で、この先生に、なんで2種類でやんないんですかって聞いたんですよ。
Speaker 1
まっとうな質問ではあると思いますけどね。
Speaker 2
これ全部、先生の論文読んだんですけど、全部1種類じゃないですか。
でも、科学のほとんどは2種類かそれ以上で起きてるから、なんでそういうのは見ないんですかって聞いたら、
その方法がわかったら、一緒にノーベル賞取りに行こうって言われました。
Speaker 1
かっこいいな。
それだけ2分子をやっぱり追いかけるのが、すっごい難しいってことですよね。
Speaker 2
2分子を同時に追いかけるのはすごく難しいし、
確率的な問題でですね、光を当てる方がよっぽど吸収率とかで、どれぐらいの機体があって、
光を当てた時に当てた機体の何%ぐらいが実際にエネルギーを吸収するのかとかいうのを計算は、
1種類の方が断然楽なんですよ。
2種類入ると、2種類それぞれの吸収率の上に、2つの別の種類の機体の分子が近くにある程度いないと反応しないじゃないですか。
近くにいるだけじゃなくて、もしかしたらスペシフィックな、正しいこういうパズルみたいな状態、3Dの関係性とかも入ってきて、
いろいろ難しくなるんですよ。
Speaker 1
たぶん計算科学とかの分野でも一緒だと思いますけど、1分子で計算する時と2分子で計算する時のコストが段違いすぎて。
Speaker 2
もうコストが段違いすぎて無理なんですね。
それが私のビッグな未解決です。
分子の動きを追う研究の興味
Speaker 1
それめちゃめちゃいいな。僕もすごい同じイメージを持ってて、割と分子の動きを追う系の研究って僕の専門ではないんですけど、
例えば、ベンゼン管が狂って回るのを観測したいです、みたいな。
Speaker 2
たまにあの姉ちゃんに出てくるちょっと癖強い系の論文あると思うんですけど、僕はああいうの大好きなんですけど。
Speaker 1
ここまでお聞きいただきありがとうございます。
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次回もまたお楽しみに。
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