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Speaker 1
ああ、そうなんですね。 すごいありがたいですね。 いやいや、こちらこそどうもありがとうございます。
Speaker 2
インド数学史って、僕もちろんそんな詳しくないですけど、サイエントークで数学の、というか数字の話をしたことがあって、で、僕が知ってるというか紹介したことで言うと、アラビア数字ってなんでアラビアなんだろうみたいな話を。
ああ、はいはい、ややこしいですよね、あれ。 はい、ややこしくて、あれって本当はインドでできたけどアラブ経由でヨーロッパに伝わったからアラビア数字みたいな、ざっくり言うとそんな感じであってます?
Speaker 1
そうですね、数学史の教科書にも、ヨーロッパの人がアラビア数字って呼んでて、呼んでるからみたいな、で、結局まあルーツはインドにあるみたいなことですよね。
Speaker 2
ですよね、で、まあそのゼロっていう概念を作ったとか、まあそのかなり数字のベースがインドに来てるっていうので、なんか僕自身興味がすごいあって。
ありがとうございます。 インドの数学っていうもの自体に、だからちょっと今日どういう話聞けるのかめっちゃ楽しみで。
Speaker 1
いやー、どんな話ができるのかちょっと不安ですね。
Speaker 2
本当、そもそものとこは聞きたいんですけど、今インド数学史の研究されてるってことですけど、そこに至るまでの経緯をちょっと教えてほしいですね。
Speaker 1
はい、実は今僕、一応研究者と名乗れるようにはなったんですけど、まさか自分がこんな道に進むとは、もう全く夢見にも思っていませんでした。
本当に夢見ないです。で、実は小学校、高学年ぐらいの時はもう中学校まで行ったら学校に行かなくていいんじゃないかって思ってて。
え?そういうことですか? いや、義務教育は義務教育で、で、ちょっと学校飽きちゃってて。
いや、友達がいなかったとかそういうことではなかったんですけど、なんか集団生活とかそろそろ飽きてきたなーと思って。
じゃあもう中学卒業したらいいやーって思ってたのが小学生の頃なんですよ。だからまさか博士課程まで進んでずっと勉強するなんて思ってもみなかったっていうのが。
Speaker 2
いやーでもわかんないですよね。その中学校の時に僕もそんな明確にそもそも博士っていうものとか知ってたかっていうと、なんか微妙なラインな気がしてて。
あーそうなんだ。 なんとなく研究者にはなりたいみたいので、そういうルートあるとは思ってたんですけど、その博士課程がどういうものかなんてわかんないじゃないですか。
だからなんとなく言ってたみたいなのがありましたけどね。 あと言い忘れてたんですけど、後ろでピーピー聞こえるかもしれないですけど、インコちゃんを飼っているそうで、インコの声が入ってるかもしれないです。
はい、インコちゃんが2羽いるのでご容赦ください。
言うの忘れてた。 僕はそういう感じでしたけど、でも高校は普通に行くかなと思ってましたけどね。
Speaker 1
ですよね普通。そりゃそうですよね。
で、小学校の4年生ぐらいの時に幼馴染にバスケットボールのミニバスケットボールのチームに誘われて、そこからバスケットを始めたんですよ。
その誘ってくれた友達のお父さんがたまたま大学の女子のバスケットボールチームの監督をしてて、インカレーの優勝経験もあるような、名称と言っていいような方だったんですよ。
で、そのコーチにありがたいことに、6年生の時に1年間だけ指導していただけることになって、そこからもうバスケットにハマっちゃいまして、
Speaker 2
だからバスケットボールの指導者、チーム作りとかフォーメーションとかそういうのを組み立てるのがすっごい興味があって。
スポーツ系のことしようかなみたいになりそうですけどね。 そうなんですよ。で、そこからなんかもうバスケットしか見えなくなっていく時期に突入するんですね。
Speaker 1
まだだいぶ遠い感じしますね。 そうなんですよ。だからまさかね、今に至ると夢にも持ってなかったっていうのがそうなんですけど。
中学校もそのままバスケットボールに熱中してしまい、ただなんか学校の勉強はそんな嫌いじゃなかったんですよね。
普通にはやってはいたけど、そんななんか新学校を目指すとかそういうレベルでは全くやっていませんでした。
バスケットに人生を捧げていたような感じの中学生時代で。
で、実は高校選びの時もバスケットボールで高校を選んじゃったんですね。
結構いらっしゃるんじゃないですかね、そういう人。 マジですか?
推薦みたいな感じですか? いや、僕が長野県出身なんですけど、行きたいと思った高校が新潟県の公立高校だったんですよ。
公立高校だったし、普通に受けるしかなくて。
で、その時に、なんか公立だから新潟に1回住民証を移動させてって、なんかややこしい煩雑な手続きがあって。
で、新潟のその高校しか受けられなくて、しかもなんか落ちたらどこも行けなくなるみたいな、長野の市立すらも受けられなくなるみたいな、やばい状況に陥り。
ありますね、でもそういうの。 勉強しねえとやべえなって思って、とりあえず受験勉強して。
で、無事受かったんですけど、インターハイとか行くようなとこだったんで。
ただ僕自身はなんかやっぱりチーム作りとかを見たかったっていうのが主な目的で、で、そっからまあ。
Speaker 2
チーム作りの方なんですね、プレイヤーっていうよりか。プレイヤーもあるかもしれないですけど。
Speaker 1
そうですね、プレイヤーも興味はあったので、ある程度レベル高いとこでやんないと、自分が指導者になった時もダメかなとは漠然とは思ってて。
で、それでいざ高校に行ったら、いやーもうなんか1週間目にしてここ来るとこ間違えたなっていうね。
で、なんで来るとこ間違えたのかというと、もうなんか旧陸軍みたいなとこだったんですよ。
あー、本当に厳しいところ。 そうなんですよ、もう軍隊みたいなところで。
Speaker 2
軍隊みたいな感じか、まあまあでもなんか強いチームだったらありがちな気がしますけどね、厳しいっていう。
Speaker 1
そうなんですよ。で、1週間目にしてちょっと心がくじけてしまい。
で、まあけど、なんとか3年間はその辞めずにはやったんですけど、やっぱなんか。
Speaker 2
すごい。 そう、あのトップの人がいて、で、まあ恐怖政治じゃないですけど、なんかその人に。
そうなんですよ、で。 先生ですか?
Speaker 1
先生で、マネージャーで、マネージャーもその1年間やった後で選手の中から選出されるという恐ろしい。
Speaker 2
えー、そんな感じなんだ。
Speaker 1
ちょっと選手としては目が、言い方もあれですけど、なんでしょう、まあレギュラーじゃない人たちの中から選ばれるような、だから男子マネージャーで。
厳しいなあ。 めっちゃ厳しくて。
で、まあパワーバランス的に先生、マネージャーで先輩で、なんでしょう後輩みたいな、すごい本当に上位関係があって。
で、なんか同級生たちもなんかだんだんとこう、まあ当時の僕の目からして洗脳されていくような感じに見えてしまって。
いや、もしその当時の同級生とか聞いてたら申し訳ないですけど。
Speaker 2
部活だったらあり得るというか、ありますよね、そういう。
Speaker 1
で、なんかみんなその先生が言うことが全てみたいな感じで、その言うコメントとかもみんな同じようになっていくのをこう身近に感じて。
で、寮に住んでたし、なのでなんかそういう環境で、ちょっとこれ勉強しないとやばいんじゃないかなっていうのもだんだんと思い始めまして。
Speaker 2
それは何系なんですか?
Speaker 1
文学部で。
Speaker 2
文学部なんですね、そこから。
Speaker 1
そこで決まったっていうのが一つで、その間に何でしょう、高校の3年間で結構名著と呼ばれるようなものも結構読み漁ってたんで、なんかそういうのも、
あと言語にちょっと興味を持ち始めて、特に古い言葉とか面白いなって。
Speaker 2
面白いですよね、なんか言語も。
Speaker 1
そうなんですよね、で、ただなんか数学は好きだったんですよ。
Speaker 2
いや珍しいですよね、でもそれ。
そうか、数学は好きで、そこで言語も好きで、みたいな。
Speaker 1
なんというかなんかすごい。
Speaker 2
その辺が興味あったんですか?
Speaker 1
テストで勉強が取れるとか、なんかそういうのできて、すごい考え方とか、なんかこう論理的にパーって切れるみたいなところがすごい数学好きで、
Speaker 2
そういうので漠然といつかちょっと数学ちゃんとやりたいなとは思ってたんですよ。
でもすごいな、文学部行ってもその気持ちをずっと持ってたってことですよね。
Speaker 1
そうですね、僕実際大学行ったら、僕がいた高校って普通科じゃなかった、普通科みたいなのもあったんですけど、3つぐらい学科があって、そのうちの1個しか何でかわかんないですけど、受けることができなかったのですごい行ったんですけど、
文系と理系でだいたい普通科ってこう分かれてるじゃないですか。
Speaker 2
はいはい、分かれました。
Speaker 1
そうじゃなかったんですよ、僕の高校って、新学校でもなかったし、就職する人もなんなら結構いたし。
全部一緒。
で、なんかその大学の文学部に行って初めて文系と理系ってこんなに分かれてんだって思って。
Speaker 2
なんか結構新学校だったら3年、高校途中からはもう完全に分かれますよね。
Speaker 1
ですよね、だからそれでなんか文学部の人の数学アレルギーみたいなのを目の当たりにして、なんじゃこりゃーみたいな。
Speaker 2
ああ、やっぱそういう人多いイメージもありますね。
Speaker 1
えー、なんでこんななんかなんだろう。
Speaker 2
逆にそれ分かれなかったから良かったみたいなとこありますよね、それ。
Speaker 1
そうですね。
Speaker 2
もしかしたらそこで文系と理系で分かれて文系に進むってなったら、まあもう数学にも触れないくなっちゃうし。
Speaker 1
そうですね。
Speaker 2
それは結構確かに大きいな。
Speaker 1
まあそんな感じ。
まあ高校の時に読んでた本のジャンルとかも割と親が結構実家から送ってくれるのが多くて。
で、なんか宇宙について書かれたのとか、あと福岡新一先生の生物と無生物の間とか。
Speaker 2
あーはいはいはい。
ああいう。
それ僕も結構きっかけになった一冊ですね。
あ、マジですか。
はい。生物と無生物の間、僕も昔読んで。
Speaker 1
ああ、そうなんだ。
Speaker 2
はい。結構面白いなって思いましたね、あれ読んで。
Speaker 1
まあ一般向けに研究者の人が書いてくれたのとか、分野問わずに結構親が送ってくれて。
そういうので、やっぱり学ぶことってすごい面白いなって思い続けていくことができてたのは、結果としては今に繋がるのかなと思います。
Speaker 2
まあでも文学部って言っても色々あるじゃないですか。できることって。
Speaker 1
そうなんですよ。
Speaker 2
そこの別れ方というか進路の決まり方が僕全然わかんないんですけど。
Speaker 1
はいはいはい。
Speaker 2
どうやって決めたんですか。
Speaker 1
入学して2年目ぐらいで大まかな背続があるんですね。文学の中で。
実はなんか割と小さい頃からお寺とかに行くのが結構機会があって、そこでお経とかを聞いたり。
あと実家が割と長野なんですけど、お寺が近くにあって。
そこに書かれた文字とか、日本で言うところの盆地とか、お墓の石に書かれた変なにょろみょろって文字とか、あるじゃないですか。
ああいうのとか見て漠然と興味は持ってたんですよ。
そういったもののルーツがインドにあるっていうところは高校の時から知ってて。
Speaker 1
それで言語にも興味あるし、サンスクリットっていうインドの古典語ですね。
それを勉強してみようかなって思ったのが大学に入って。
Speaker 2
なるほど、サンスクリットに行くのか。
そうですよ。
結構日本語のルーツでサンスクリットのやつとかもあったりするって聞いたことありますけどね。
Speaker 1
そうですね、インドの言葉から漢字文化圏、中国の方に大陸を伝って玄奘さんとかが翻訳した漢訳の仏典があって、それが日本に伝わってみたいので。
例えば極楽とかですかね。
Speaker 2
極楽。
Speaker 1
あれも漢訳されたサンスクリットで。
言語なんだっけ、アティスカとかかな。
そういうのとかパッて思いつかないけど、かなりいっぱいありますね。
Speaker 2
ですよね、やっぱり仏教が伝わってきたタイミングでいろいろ多分日本にも入ったのかなとか思いますけど。
サンスクリット語自体を研究したんですか、それは。
Speaker 1
僕の行った研究室はサンスクリット語で書かれた文献、本です、昔の本。
だったら何でも、ジャンル問わずに何でも研究していいよっていう結構オープンな感じのところでして、
実は僕卒業論文ではインド数学じゃなくてインドの音楽論書の研究をしたんですよ。
Speaker 2
音楽、全然違うの。
Speaker 1
そうなんですよ。
Speaker 2
全然近くないのか、音楽と数学結構近いみたいな。
Speaker 1
そうなんですよ。
Speaker 2
昔は結構近いみたいなのありますよね。
Speaker 1
レンさんってピアノやられてますよね、確か。
Speaker 2
僕ピアノ、はい。
ですよね。
どっかで喋りました多分。
Speaker 1
ですよね、なんかで聞いたなって思って。
Speaker 2
はい。
Speaker 1
そうそうそう。
Speaker 2
ピアノの音階とかそうですよね。
Speaker 1
ギリシャとかのテトラコルドとかそういうのとか出てきたり。
ただインドの音楽ってまたちょっと、ギリシャとかだとどっちかっていうと比例とかの比ですね。
比で考えていくような考え方なんですけど、
インドの音楽ってどっちかっていうと1オクターブに7つの音があるっていう点は同じなんですね。
それをインドだとサリガマパダニってレミファソラシを。
Speaker 2
サリガマパダニ。
Speaker 1
そうです、サリガマパダニって言うんですよ。
そういった音の配列をどうやって組み合わせてメロディにしていくかみたいなので。
なんか順列組み合わせ列挙のそういったところが結構中心になるトピックとして扱われるんですよ。
Speaker 2
え、順列出てくるんですか。
Speaker 1
そうなんですよ、音の組み合わせで。
ただ、あくまでも理論なので、そのすべてが実用的な音楽として成立するわけではないと思うんですけどね。
でもそれ、7つに分けて比でやるのとは結構違う感じなのかな。
Speaker 2
ひたすら組み合わせとかを出す感じですかね。
Speaker 1
そうなんですよ、ひたすら組み合わせあって、音を列挙したのを章にして書いて、みたいなのがサンスクリプトの文献に入れてくるんですよ。
Speaker 2
表をなんだ。
Speaker 1
表とか、なんか結構巧妙なことを昔の人やってたみたいで。
Speaker 2
確かに、ギリシャのやつは昔だとピアノとか弦の長さの比とかで。
何対何のところが結構いい音出ますよみたいなのがそれぐらいのちょっと概念チックな感じですよね。
それがインドだと割ともう組み合わせが結構多いというか。
Speaker 1
そうなんですよ、そこが結構中心となって。
で、先行研究を調べてたら、どうやらインドの数学の研究者、インド数学を研究している人が京都にいて、
しかも僕がやってた文献の順列組み合わせ論のところも研究している人たちがいるらしいっていうのを学部生の時に知ったんですね。
で、京都にそういったインド数学とか天文学の研究グループがありまして、
それで大学院からそっちの方に行きたいなって思うようになって、で、インド数学に繋がると。
Speaker 2
なるほど、すごいな、サンスクリット語から繋がってそこにたどり着いたんだ。
Speaker 1
そうなんですよ、僕の姉がいて、姉もずっと音楽をやってたっていうのも少なからず影響はあると思います。
Speaker 2
面白いな、なんかすごい動機というか流れがもう古代感がすごいというか、音楽と数学繋がってますみたいな。
ピタゴラスとかが言ってるやつじゃないですか。面白いな。
でもなんかそういうピタゴラスみたいな理論としてはあるわけじゃないですか、昔のギリシャとか文学。
でもインドだとやっぱりもっと違う感じですか、さっきの順列以外も。
Speaker 1
一つ違うと思う、違うというかあれが、最初の音がサリガマパダニのサなんですけど、そのサの音高、音の高さっていうのが定まってないんですよ。
Speaker 2
定まってない。
Speaker 1
定まってなくて、最初に歌い手が発した音がサになるんですよ。
そっから次の音との間隔は決まってるので、その音から相対的に次の音はこれみたいな風になっていくっていう。絶対音高っていうのがないっていう。
Speaker 2
そうなんだ、じゃあそのサがドの時もあればミぐらいの時もあるみたいな。最初に決まるんだ。
Speaker 1
実際ね、歌う人はある程度共通の認識はあるとは思うんですけど。
Speaker 2
最初の人が絶対音感を持っていれば大丈夫って感じですよね。
そうですよね。
そうじゃなかったらなんか偉いことになりそうだなって思いますけど。
そうそうそう。
確かにでもそれでも曲としては成り立つからってことなのかな。
Speaker 1
僕も結局少ししかインド音楽に触れなかったんで、学部生の卒業論文の時ぐらいしかやってないんで、あんまりインド音楽のことは語れないんですけど、今でも結構興味あります。
Speaker 2
そこから数学史自体にシフトしていったってことですよね。大学院からまた。
Speaker 1
大学院にそれも運良くというか試験を突破することができて、大学院に入って、ただ大学院の研究室では変わらずインド学、インドの文献学の研究をする研究室に所属はしていたんですけど、
外部の研究グループでインドの数学文献とか天文学の文献を研究するグループがあって、そこに混ぜてもらってましたね、大学院のところから。
そこからインド以外の数学の歴史を、数学の歴史を研究する別の研究グループも京都にまたあって、そこから数学の歴史それ自体に興味を持ち始めたっていう流れになります。
Speaker 2
そうか、数学の歴史自体、それもやることとしては昔の文献をいろいろ読んで、どういったことがその史実としてあるのかみたいなのを確かめるみたいな、そういう感じですか?
Speaker 1
そうですね、だから手法的にはもうがっつり文献研究、文献学の手法にのっとって、ただ書かれている内容は昔の人が書いた数学の公式だったり、そういうものになります。
Speaker 2
ってことは、結構数学も理解してないとできないんですか?
Speaker 1
そうですね、なんて言えばいいんだろう、インドの現代数学とはちょっと、現代数学の視点から見ちゃうといろんなバイアスがかかるので、あくまでもインドの人が考えていたやり方を復元するっていうふうに考えたほうがよくて、
高校数学までやっとけばある程度はいけるかなってところですかね、内容的には。
14世紀から16世紀くらいにかけて、インドの南部のケイララ州あたりで、マーダバ学派っていうのがあるんですけど、一連の指定関係で結ばれた数学者、天文学者軍団、グループがありまして、
そういう人たちはニュートンとかライプニッツに先駆けて、無限級数展開を用いて円周率の結構なところまで近似計算をしていたみたいなのがあって、そこら辺は結構読むのが難しいかもしれないですけど、
基本的には高校数学ぐらいまでやってればいけるはずです。
Speaker 2
そうか、現代の数学それより先になるともっと難しいというか、ガチの数学家みたいな話は昔にさすがに出てこないと思うから、それでも普通の文献を調べる学問と違って、文章だけで説明されてるわけじゃないじゃないですか、インドだと特に。
言語だけで数字がちゃんと今みたいな公式として使われる前ってものすごい言語的に数学も記述されてたから、むしろ現代からすると理解が難しいみたいな、あったりすると思うんですけど、そういう要素もあります?
Speaker 1
あります。あります。すごいあります。 ああ、やっぱあるんだ。 あるんですよ。で、インドの数学、数学に限らずなんですけど、インドの学術書、サンスクリット語で書かれた学術書って、基本、韻文で書かれてます。韻文っていうのは日本で575みたいな、リズム、リズミカルな感じで。
Speaker 2
ええ、リズムがあるんですか? あるんですよ。そうなんです。 あ、韻文って、韻を踏むの韻か。ラップの韻とかの韻ですかね。 そうそうそう。
Speaker 1
ええ、そうなんだ。 そうですね。そういうリズムがあって、で、インドの人って暗記するんですよ。歌で覚えてそれを。
Speaker 2
ああ、イメージありますね、それ。掛け算めっちゃすごいところまで覚えてるとか聞いたことあるし。 そうそうそう。
Speaker 1
なので、そういう韻文ですね。韻を踏むとかの韻に文章の文で、韻文で書かれたものを暗記していくと。で、数学書も例外にもれず、その韻文で書かれてます。文章で書かれてます、全部。
ああ、そうなんだ。 はい。だから、数学の公式とかも全部文章で書かれてるので、それを。
Speaker 2
それを、なんか、ちょっとわかりやすく公式に起こすとかやろうと思ったらできるわけですよね、きっと。 そうですね。
Speaker 1
公式にするみたいな。
Speaker 2
だから、僕の研究としましては、そういう文章で書かれたものをまず翻訳する。英語なり日本語だったり、近代語に翻訳して、で、さらにその上で、それだけじゃ意味わかんないじゃないですか。文章読んだだけじゃ何書かれてるかっていうのがわかんないんで、その注釈として数学的内容を現代的な記号を用いて翻訳すると。
Speaker 1
へえ、面白。
Speaker 2
だから、その2段階ですね。
Speaker 1
面白いな。
Speaker 2
翻訳する。自然言語に翻訳して、で、その後で記号を使うと。で、翻訳すると。
いや、すげえ大変そうだなって思いますけど。そもそもそれ、印文っていうやつを読むのも結構難しいんですかね。もう全然想像ついてないですけど、そんな575みたいなリズムで公式説明するって結構、そんな縛りプレイみたいなことしてるなんて。
Speaker 1
ただ、インドの印文ってすっごいたくさん種類があるんですよ。575だけじゃなくて、まあ575じゃないですけど、いろんなパターン、なんかインドの人ってとにかく分類するのが大好きなみたいで、で、その、印文も分類しまくるんですね。
へえ。 このタイプはこんなんで、このタイプは何種類あってみたいなのをすごい分類すると。だから、縛りっていうのはあるようでて、もちろんあるんですけど、その種類自体も多いんで、いろんな形に変えられるっていうメリットがある。
ああ、そうなんだ。ある程度型はあるけど、その型がいっぱいあるから、割と自由に表現はできるっていうことなのか。 そうですね。それでも僕は作文できないですけどね、印文で。
Speaker 2
すごいレベル高い文法みたいなイメージですかね。 そうですね。サンスクリット自体文法もややこしいんですけどね。 ああ、そうなんだ。もう全然わかんないですけど、サンスクリット語。
Speaker 1
サンスクリットって実は、ギリシャ語とかラテン語と似てるというか、ルーツが同じなんですね。どっちも引用語っていう言語の種類に属してて、なので、ギリシャラテンとかとも共通似てる、単語レベルでも似てるものもあったり、
Speaker 2
文法的にもすごい似てる部分があるので、なので、サンスクリットかギリシャ語かラテン語どれか一つを最初にやると、割とどれかその他の言語にもとってきやすくなるっていう。 ああ、そうなんだ。
Speaker 1
はい。 まあ、もともとの祖先が一緒みたいな感じなんですかね。 そうですね。はい。 まず、じゃあ、言語の勉強をまずしないといけなくて、ってことですよね。だから、それがわかった上で文献を今度翻訳するみたいな、まず翻訳できないと。 そうですね。
ああ、大変そうだな。 さらに言うと、テキスト、サンスクリット語で書かれたテキストっていうのが、出版されたものもあれば、まだ写本のまま眠っているものもあるんですよ。
ほうほうほう。それしかないみたいなことですか。写本のままって、全然数少ないですよね、きっと。 そうなんですよ。写本のまま眠ってて、まだ世の中に知られていない数学書っていうのも結構ありまして。
へえ。それはインドのどっかに保管されてるんですか。 そうなんですよ。インドの各地の都市間に保管されてて、それを2月、3月の調査で入手しに行くと。
Speaker 2
ほうほうほう、すごい。 それでサイエンマニアさんに出会うことができたので。 その中プロセスが全然すごいな。どうやって見つけるんですか、ちなみに。ここにまだ読まれてないインドの文献あるぞみたいな。
Speaker 1
それはインドの各地の都市間がカタログ、写本のリストのカタログを出してる場合があるんですよ。まずそのカタログをチェックして、自分が興味ありそうなタイトルを見つけて、目星をいくつかつけておいて、
Speaker 2
実際現地に行って交渉して、運が良ければコピーを入手できると。 それはもう現地の人もそんな読んでないみたいなやつなんですかね。
Speaker 1
場合もあります。その場合も結構あります。なので、研究してる人がその文献の価値を知って伝えないと保管状況とかも悪い場合もあるから、歴史に埋もれてしまうような文献もこれまでにもたくさんあったと思いますし、多分これからもあるんじゃないかなと思います。
Speaker 2
いや、ですよね。本なんて結構すぐ朽ちちゃうから、保管条件どうするみたいなのって結構重要っていうのも、なんか図書館の話した時に調べて出てきましたね、めっちゃ。