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Speaker 1
こんにちは、レンです。サイエンマニアはあらゆる分野のゲストを招き、リープでマニアの話を届けるポッドキャストです。今回のゲストは、再生医療の企業で研究員をされているコーラさんです。よろしくお願いします。
Speaker 2
よろしくお願いします。コーラと申します。
Speaker 1
はい、じゃあ最初に自己紹介の方お願いします。
Speaker 2
はい、僕、大学入学してからは有機化学を専攻していて、レンさんと同じような感じで。
Speaker 1
一緒ですね。
Speaker 2
はい、ケミカルバイオロジーっていう分野になるのかなって。有機合成してそれを細胞にかけてどういう反応が出るのかみたいな、そういう感じで結構レンさんの話聞いてて、似てるなって思ってて。
Speaker 1
そうですね、知り合いの知り合いぐらいかもしれない。
Speaker 2
そうかもしれないですよね。
ただ幼い頃から薬をやりたいなと、製薬関連の仕事をしたいなと思ってて、有機化学ずっと専攻してたんですけど、生命科学に関しては全く勉強したことがなくて、生物に関して勉強したいなと思いまして、大学院から研究室を変えて。
Speaker 1
修士課程からですか。
Speaker 2
そうです。修士課程から変えまして、そこでは免疫学の方を専攻しまして、研究してました。ただ、科学とそういう生物の研究ってちょっと違うなってところがあって。
ちょっとですか。
やってることはもちろん全然違うんですけど、科学はやっぱ何かを新しいものを作って、それがどうなのかを見るっていう感覚があって、ただ生物は逆にもう起こってる現象が何なのかを、ちょっと研究のやり方というか。
で、自分の性格的には何か物を作ったりすることが面白いなっていうのは昔からあって。はいはい。
で、大学院から暗がえしたにも関わらず、もしかしたら自分は研究が向いてないんじゃないかと思いまして、その時に。
良し器用に就職して、薬をやりたかったから製薬業界に行こうと。ただ製薬業界でも研究職じゃなくて、その時は、その時は研究職じゃなくて、製造の方に。
Speaker 1
ものづくりの方ですね、本当に。
Speaker 2
はい、そうですね。っていうところで、一番最初は製造の部署に就職したんですね。
Speaker 1
それは有機化学系ですか?
Speaker 2
いや、その時に再生医療の分野。
Speaker 1
そこで再生医療?
Speaker 2
はい、そうです。そこで再生医療関連をやってる。
免疫の知識もちょっと必要な分野があったので、そこで自分の知識も活かせて、で、ものづくりってところで興味も持って働けるんじゃないかなって思って、再生医療関連の製造部門にっていうところで就職したんですよね。
Speaker 1
なるほど、なんか結構変わってますよね。僕の中であんま今、再生医療と免疫がどれぐらい繋がってるのかとか。
ちょっとこの後で詳しく聞こうかなと思うんですけど、だいぶ有機化学からもう離れたところにあるかなと思ってて、再生医療とかって。
Speaker 2
いや、かなり離れてます。
ですよね。
ちょこちょこ内容としては変わっていってて。
その都度、新しい学びを。で、またちょっとしたら転職をして研究職に戻るんですけれども。
っていうのも、製造をしていると、再生医療の製造をしていると、なんだろう、研究部門が作ってきてくれたプロトコルを製造部門の人がその通りに作るみたいな。
Speaker 1
そうですよね。あんまりそんなに変えちゃいけないですよね。もう作るものは決まってて、それを効率的にどう作るかっていうのが多分製造の方ですかね。
Speaker 2
そうですね。基本的なところは変えずに、どうやったら人がもっと効率よく動けるかとか、どうやったら材料を管理しやすくなるかとか。
なんていうか、サイエンス、リサーチとかデベロップメントっていうよりは、製造関連における人だったり物だったり場所だったりを管理するマネジメントみたいな要素がすごい業務の中としては大半を占めてるような気がしていて。
Speaker 1
はいはいはい。確かに品質のチェックとか、そういうのってちょっと研究っぽくはないですよね。
Speaker 2
そうなんですよね。そうなってくると、またもうちょっとサイエンスをやりたいなって思ってきちゃって。
Speaker 1
それで転職しようみたいな。
Speaker 2
それで2,3年働いたし、製造の現場をわかったから、製造の現場により近い研究職はどこだろうってなると、プロセス開発部門。どうやって工業的な生産方法をしていくかっていうところを研究する部署。
Speaker 1
なるほど。それが今の会社ですか。
Speaker 2
そうですね。今の会社でプロセス開発部門の主任研究員として働いてるって感じですね。
Speaker 1
主任研究員として。だいぶ面白いキャリアだなと思って。僕の周りにも有機化学出身の人いますけど、あんまり再生医療に行ってる人はなかなかいないんじゃないかなって気がしてて、作るものも全然違いますし。
だからこそ何かわかることとか、結局使ってるものが有機化学っぽい知識も使える部分もあるかもしれないですけど、そういう話をちょっと、そもそも再生医療分野はどんなんなんですかっていうのを聞きたいですし。
Speaker 2
そうですよね。
Speaker 1
もうなんかだいぶ本編っぽい感じにもう話が入ってますけど。
Speaker 2
そうですね。僕自身の自己紹介とかバックグラウンドとしてはこういう感じですね。
Speaker 1
ありがとうございます。なんで今回出てくれたのかっていうと、僕の方にメールしてくれまして、そういう形で再生医療関連の企業で今研究員として働かれていて、今取り組んでるサイエンスについて話してみたいみたいな話をメールで書いてくれたんで、もうぜひみたいな感じで今日話してるんですけど。
ちなみにこれポッドキャストどうやって聞くようになってくれたんですか。
Speaker 2
ポッドキャストを聞くきっかけとしては、子供がいまして、結構まだゼロ歳児なんですけど、夜中とかにこう泣いて起きてくるわけですね。
で、そこでミルクをあげるときに、なんかめちゃくちゃ暇なんですよね。
赤ちゃんぼーっとほぼ寝ぼけながらミルクを飲んでるし、かといって両手がふさがってるんですよ。赤ちゃんを支えてもう片方の手はミルクを持ってて。
Speaker 1
そうですね。はい。
Speaker 2
で、かといって音楽を聞くわけにもいかないんで、イヤホンをして何かを聞くっていうときに、ポッドキャストすごいあってたんですよね。
Speaker 1
すごい、そこが入り口になることがあるんですね。
持て余すときにね。
Speaker 2
で、それで最初はビジネス系というか聞いてたんですけれども、自分自身サイエンスやってきた人間で、科学についてもカテゴリーがあるなって聞いてたら、サイエントーク、サイエンマニアを見つけて、それで聞くようになりましたね。
Speaker 1
まさかその子育てから。
Speaker 2
そうですね、子育て。家事とか育児とか、そういう何かをしながら聞くっていう、ながらでやるっていう分にはポッドキャストすごい良かったです。
Speaker 1
すごいありがたいですね。でもそういう何かしらのきっかけでポッドキャスト聞いてくれるようになるっていうのはあると思うんですけど、喋ろうって思ったのって、喋ってみたいなって思ったのって何でなんですか?
Speaker 2
一個は結構自分はやりたがりみたいな、なんか取り組みたいみたいなところがあって、自分も喋ってみたいなってまず思ったのが一つと、単純に。
Speaker 1
で、あと自分が過去に有機化学だったり免疫学だったりを専攻してきたおかげで、サイエンマニアに過去に登場された人の話、有機も免疫も結構何人かいらっしゃったと思うんですけど、
Speaker 2
はい、ありましたね。
結構バックグラウンドとしては知ってるおかげか、話されてる内容も結構わかっていて、もしかしたら自分も話せるなとまず思って、
で、かといって過去の話になると有機とか免疫っていうのも話し尽くされてるからってなると、今自分がやってる再生医療のところだったらまだ誰も話してないし、
Speaker 1
そうですね。
Speaker 2
で、それだったら今ならいけると思って。
今しかないみたいな。
誰かが再生医療の形でゲスト出演させてくださいって言う前に、もう今だって思って。
Speaker 1
確かになぁ、イソースもね、そんなラインナップでありそうだけど。
Speaker 2
聞いてる人にもいるんじゃないかなと。
Speaker 2
あと最近言われてるのは動物愛護の観点もすごい。
ありますよね。
殺さなくていいんでも。
そういったところから地球環境以外の話にもなりましたけど、
いろんなメリットがあるっていう感じですね、バイオニク。
Speaker 1
多分一番問題そうなのは、今世界中いろんなところでいっぱい牛飼われてて、
バイオニクでどこまで置き換えられるのかみたいな話ですよね。
Speaker 2
そうですね。
Speaker 1
それこそいっぱい作んなきゃいけないだろうし。
Speaker 2
はい。
Speaker 1
うんうん。
Speaker 2
なんでいろいろまだまだ解決する課題は何個かあるんですけれども、
調べた感じいくつかいろいろ解決できた課題っていうのをちょっと紹介できればなと思ってて、
さっき幹細胞を取ってきて無限に増殖させるって言ったんですけど、
細胞を培養するって、レンさん細胞を培養って実験とかで経験されたことあります?
Speaker 1
大学生の時にほんとにちょびっとだけありますね。
Speaker 2
多分10センチディッシュとか言って円形の丸いお皿に。
Speaker 1
はいはい、なんて言うんだろうな。シャーレって言ったら伝わるんですかね。
Speaker 2
そうですね、シャーレかそうですね。
Speaker 1
多分昔のそれこそ中学校高校の理科室とかにもあるとこあるんじゃないかなって思いますけどああいう。
Speaker 2
そうですね。直径10センチのディッシュに高さ半分ぐらいまで液を入れて、そこに細胞をバーっと入れると。
細胞がそのディッシュの底にペタペタ張り付いたり、もしくは浮いたりして、その液体中の栄養だったりを吸ってどんどん分裂して増えていくと。
2次元的な細胞培養と言われてて、これを立体的に持っていけばもっと空間的な余裕ができて、もっと増える、細胞が増えるスペースができるだろうってところで、
最近では3次元培養っていう。
Speaker 1
実際の体とか3次元ですもんね。
Speaker 2
そうですよね。
さっき2次元で言った話は円の形をしたお皿。
それを3次元培養だと円柱みたいな感じをイメージしてもらえばよくて、
円柱。
そこの真ん中にプロペラがあってパーって回転してると。
Speaker 1
常に混ざってる状態で。
Speaker 2
混ぜつつ培養させていくと。
そうすることで空間的にすごい大量に、一度に大量に培養することができるようになるんで、
細胞を爆発的に増やすっていうところの課題としては、こういった課題を解決する取り組みとしてはそういったものがされている。
Speaker 1
それ昔は技術的に2次元じゃないと結構増えるのが難しかったとか、そういったことですかね。
Speaker 2
増える2次元だとやっぱり同じ量を作ろうとすると、3次元の話と同じ量を作ろうとするとすごい手間なんですよね。
倍値って、ごめんなさい倍値って言葉いきなり出てきたかもですけど、
細胞を培養するための液体ですよね、倍値。
で、それって結構な頻度で交換、リフレッシュしてあげないといけなくて、
細胞がある程度育ってきたら、そこの液体中にはもう栄養がなくなっていって、逆に細胞から出てきた老廃物が。
なので、古い倍値を捨てて、新しい倍値を入れてリフレッシュしてあげるっていう作業が必要なんですよね。
Speaker 1
これあれですよね、魚の水槽とかでずっと同じ水槽で飼ってたら汚れちゃって魚死んじゃうから、たまには水槽の水入れ替えようよみたいなそういう話ですよね。
Speaker 2
そうですそうです。まさにそうで。
で、それを10センチのサイズのお皿を何枚も用意して作業するのと、
Speaker 1
大きいタンクみたいなので1回でガーッと交換しちゃうのかというと、もう作業の面ですごい全然違っていて、
Speaker 2
そういったところで細胞を増やしていくってところは取り組みとして行われているみたいですね。
Speaker 1
じゃあそういう技術が出てきたから、言ったらさっきのバイオニクみたいなものに使う細胞も結構体積あたりでいっぱい作れるようにはなってきてるっていう感じですかね。
Speaker 2
で、そうやって増やした細胞なんですけれども、3次元にバイオさせてくると、言ったら何て言うんですかね。
細胞がどんどんくっついて細胞同士がバッティングしたりすると、そこでくっついたりして、どんどん1個くっついて2個くっついてダダーッと大きくなっていくんですよね。
要集していくというか。
で、そうやって1つの細胞がどんどん増えていくことによって、筋肉の繊維を作ろうとしていくんですよね。
それもう勝手にそういう形になるんですか。
それはそうやって分化させるための、何て言うんですかね。
条件とかがある。
あるタンパク質だったり、いろいろ加えたりすることによって、半細胞からどんどん筋肉の細胞へと分化させていくにあたっていくんですけれども。
で、こうなってくると、普通のお肉って繊維があるじゃないですか。筋繊維というか。
Speaker 1
ありますね。
Speaker 2
けど、ああやってバーッてかき混ぜている状態だと、その一方向に伸びるんじゃなくて、ランダムに伸びていっちゃうんで。
Speaker 1
ああ、そっか。ぐるぐる混ざってるわけですもんね。
Speaker 2
はい。ってなると、ミンチ状のお肉しかできないって言われていて。
Speaker 1
ひき肉はできるんだ。
Speaker 2
そうですね。結構前から、ひき肉は実際作られてた、実現してたみたいで。
Speaker 1
へー、そうなんだ。確かに作りやすそう。
Speaker 2
はい。調べたら2013年とかにはもう、ひき肉でハンバーガーを作ってみたみたいな。
そうなんだ。
はい。2013年ロンドンで試食会が開かれて、ハンバーガーを、バイオニクで作ったハンバーガーを。ただこれは研究費込みで、ハンバーガー1個あたり3,500万。
Speaker 1
3,500万。
Speaker 2
当時はやっぱり細胞を増やす技術もそこまでなかったんですかね。そういう感じで。
Speaker 1
確かに。それでハンバーガーのサイズの作るってなったら確かにすごい量ですよね。細胞にしたら。
Speaker 2
すごい量、はい。細胞が必要なんで。
Speaker 1
ああ、そういうことか。
Speaker 2
で、結構昔の時からミンチのお肉っていうのはできてたんですけど、そうじゃないと、やっぱり肉肉しさって筋繊維みたいなのが、筋が一方向に並んでる。それがバーっと並んでる。
それが大事だってところで、またそれもいろいろ取り組みがされていて、面白いのがバイオプリンターっていう技術。
Speaker 1
バイオプリンター。
聞いたことあります?
3Dプリンターみたいなことですか?
Speaker 2
そうですそうですそうです。まさにそれで。
細胞をインクとして使う。
Speaker 1
細胞をインクとして使う、へえ。2回前ぐらいに3Dプリンターの話してて。
Speaker 2
ありましたね。
Speaker 1
そこでもなんか、それは違うな。それはもう細胞が分子の3Dプリンターだみたいな話をしてたんですけど。
細胞を使って繊維を作っちゃおうっていうプリンターがあるんですね。
Speaker 2
そうです。
へえ。
Speaker 1
すごいですね。
Speaker 2
どうやってやるかっていうと、けんざんみたいなのを用意して。
Speaker 1
けんざん。ああ、鼻とか刺す。
Speaker 2
そうですそうです。
Speaker 1
はいはい。
Speaker 2
そこに1個1個細胞の行集回を1個1個置いていくんですよね。
Speaker 2
近い細胞同士は繋がり合うので、横の隣のけんざんに刺された細胞の塊とその隣の細胞の塊っていうのはくっついて、
Speaker 1
そこがまたやると、自分たちでどの方向に伸ばしたいかとかできるんですよね。
そっか、けんざんの模様に沿って細胞が繋がるみたいなことですか。
そうですそうです。
へえ、そんなんできるんだ。
Speaker 2
バイオプリンターっていう技術で、これ筋肉だけじゃなくて、ちょっと隣の針には脂肪を。
ってすると、たとえば顕微鏡で筋肉の断面図見たら、ここには筋肉、ここには脂肪、ここには血管があるって。
その通りにバイオプリンターでやっていくみたいな形で。
Speaker 1
すごいな。すごいけどオーダーメイド感ちょっとすごいですね。
Speaker 2
そうですね。
Speaker 1
いっぱいは作れなさそう。
Speaker 2
だけど一回レシピ作っちゃえば、プリンター自体はもう全部機械がやってくれるんで。
Speaker 1
すごいなそれ、もうそんなんできるんだ。
結構これバイオプリンターで医療の方にも、まだ多分実用化されてないけど、たとえば血管を作るとかはそういう技術はもうできていて。
細胞を並べて血管の形作っちゃうってことですよね。
Speaker 2
完全に血管みたいなチューブみたいな。
Speaker 1
そんなんできるんだ。
Speaker 2
日本の企業だったと思うんですけど、そういう感じで本当に最先端の技術を駆使されて、実際の僕たちが食べてるお肉っていうのを作ろうっていう取り組みが今バイオ肉っていう分野でやられてますね。
Speaker 1
なんか思ったよりだいぶ進んでるというか、なんかできそうな感じしますね、そこまでコントロールできるなら。
Speaker 2
解決したいところは解決が進んでいて、近い将来食料危機としてっていう話でしたけど、もしかしたら間に合うのかもしれないんじゃないかって期待させてくれるような状況ですよね。
Speaker 1
そっか、そのプリンターで印刷された肉が並ぶ日が来るかもしれないってことですよね、ちゃんと肉作れたら。
美味しいのか気になる。
Speaker 2
味はどうなのか、味がどこなのかちょっとわかんないんですけど。
一番大事なのが味なんじゃない、きっと。
Speaker 1
それで味も再現できたら本当にすごいですけどね。
Speaker 2
そうですね。
けど味、最悪なんだろう、化学調味料をちょっと入れておいてみたいなのができないのかな。
最初の挽肉のハンバーガーも、それハンバーガーのタレとかの味でなんとかなりそうだなみたいな感じしますけどね、正直。
ちょっと食感だけは再現できるけど味は他のところでカバーみたいな。
Speaker 1
焼肉とかできたらすごいですよね、それで。ゴール焼肉じゃないですか。
Speaker 2
ゴール、はい。
Speaker 1
焼肉難しいだろうな、やっぱ。面白いですね、再生医療とそこは繋がってるんだ、完全に。
Speaker 2
そうですね、僕もびっくりしました、学会に行って。
このバイオプリンターっていう話題もあって。
Speaker 1
それも医療系のもので。
それも作って、言ったらそれって患者さんの細胞から取ってきたやつで作るみたいな話ですか?
Speaker 2
そうですね、それもあるし、iPS細胞を使ってみたいな話もありますし。
Speaker 1
最初に免疫と再生医療で繋がるって言って、一番思い浮かぶのって、臓器移植した時に元の人と臓器を入れる人はいろいろ型が違うみたいな感じで、
免疫反応、異物として認識しちゃうから結構難しいですよとか、そういう話かなと思ってて。
そこにももしかしたら使えるかもしれないですよね。
自分が生み出している細胞でそれを分化させてプリンターで印刷して自分の体に戻すみたいな話ですよね。
Speaker 2
そうですね。
もしできたら。
自分の細胞だったらもう免疫拒絶っていうのは絶対起こらないので。
Speaker 1
別にプリンターじゃなくてもいいんですけど。
Speaker 2
そうですね、自分の細胞を使うってところであれば免疫的な問題点はないので。
といった感じで、バイオ肉という分野の紹介でした。
Speaker 1
全然再生医療だと思ってなかった。
Speaker 2
まずそういうバイオ肉って、その時は僕テレビでもあんまり聞いたこと、その時は僕は知らなくて。
バイオ肉ってなんやって。
Speaker 1
なんか生きてるうちに食べてはみたいですね。
Speaker 2
そうですよね。
Speaker 1
大豆ミートとか豆腐ミートみたいな最近よく聞きますけど。
Speaker 2
ちょっとバイオ肉食べたいなっていう気持ちが強くなってきた。
近い将来もしかしたらスーパーに並ぶ日が来るのかもしれない。
Speaker 1
であれですよね、甲羅さんはバイオ肉の研究をしてるわけではない。
Speaker 2
ではない。
ではない。
ではない、はい。
Speaker 1
まあでも再生医療系のどういうジャンルなんですか。
Speaker 2
そうですね、再生医療って言っても、再生医療っていう言葉自体もすごい今広く使われていて。
再生医療ってどんなイメージ持たれますかって言われるとやっぱ皆さんiPS細胞とか肝細胞っておっしゃられることがほとんどかなと思うんですよね。
僕も改めてネットとかYouTubeとかで再生医療って検索をかけたらいろんな使われ方をしてるのを目にするんですよね。
例えば美容関係だったり。
Speaker 1
美容か、確かに若返りみたいな。
Speaker 2
肌の再生みたいな。
とか、あとどこそこクリニックみたいなところで再生医療やってますみたいな。
ほうほうほう。
書いてて。
で、まあこの再生医療って言葉自体はすごい広く使われてるんですけど、
あの製薬業界におく私としてはどういった再生医療やってるかっていうと、
患者を治すための再生医療でもちろん、
で、それは製造販売許可をもらって、
保険適用されるための治療法として製品を届けるってところにビジネスとしてやってるってところで、
まあそういうさっき言ったような美容の話とか保険適用外のところ。
ちょっとそっちの方は僕、保険適用外の再生医療についてはちょっと分からないんですけど、
保険適用を目指した再生医療。
で、これって再生医療等製品って言われるんですね。
Speaker 1
医療等製品?
Speaker 2
はい。再生医療、漢字で言うと再生医療などの製品。
Speaker 1
ああ、等ってなどですか。
Speaker 2
はい。再生医療等製品。
うんうん。
で、この再生医療等製品っていう括りの中に免疫が絡むところがあって、
Speaker 2
もしかしたら聞いたことあるかもしれないですが、カーティーってご存知ですか?
Speaker 1
カーティーの話は一応サイエンマニアでも1回出てきてますね。1回か2回か出てきてるな。
Speaker 2
そうですね。カーティーってどういう製品かってお話しすると、
ガンを治すための治療方法の1つで、
ガン細胞をやっつけるために、いろいろ普段は免疫細胞が働いてるんですけれども、
免疫細胞よりもガンの方が有意に強くなっちゃってるっていう状況に対して、
もっと自分の免疫力を高めてやっつけようっていう治療法ですよね。
で、患者からT細胞を取ってきて、
Speaker 1
免疫の細胞ですね。
Speaker 2
はい。ごめんなさい。免疫細胞、T細胞を取ってきて、
で、そのT細胞に遺伝子治療を加えて、遺伝子を操作させて、免疫力を強化させた、
これがカーティーって言われる細胞で、そのカーティーを患者に戻してあげる。
強化されたカーティー細胞がガン細胞を攻撃してやっつけちゃうっていう、
そういった治療方法で、これも再生医療等製品っていう大きな枠組みの中の、
細胞治療と呼ばれるカテゴリーの中の一つの製品になるんですよね。
Speaker 1
じゃあ細胞を使ってる治療は結構再生医療等製品の中に入ってくるってことですか。
Speaker 2
そうですね。そう思ってもらってもいいと思います。
Speaker 1
治療法として普通のお薬とは結構違いますよね。トリッキーというか。
一回取ってきて、患者さんにお薬を入れるんじゃなくて、取ってきた細胞に治療というか、
薬品を入れてそれを戻すっていう。
Speaker 2
そうですね。今までの医薬品って有機合成で作られるような低分子の医薬品、
高分子の医薬品というところでなると抗体薬っていうところですけど、
再生医療等製品っていうのはどういったものかっていうと、
生きた細胞だったり、生きたそういう細胞を使って作り上げた組織だったり、
さっき言ったような血管のようなチューブだったり、
生きたものが製品として患者に治療法として提案されるっていうのが再生医療等製品の特徴ですね。
Speaker 1
その有機化学的なところで言うと、作ってるものって本当に一個の分子とかじゃないですか。
それに比べたらとてつもなくでかすぎて、
もちろん一から作ることもできないし、
いろいろ多分生き物の力を使って作るみたいなことですよね。
抗体もでかいなって思いますけど、タンパク質で。
Speaker 2
抗体もでかいですよね。
Speaker 1
それとは比べ物にならないぐらいでかいじゃないですか、細胞って。
Speaker 2
そうですね。
Speaker 1
だから使うの難しそうだなって単純に思いますけどね。
Speaker 2
そうなんですよ。それが難しくて、今回ちょっとそういう難しさっていうところを紹介できればなと思ってて。
Speaker 2
すごいですよね。
これは血液じゃなくて確か足の筋肉が取ってくるだったかな確か。
そこから1回未分化状態、IPSみたいな感じで戻してあげて。
リセットして。
はいリセットしてそこから筋肉の細胞へと分化させていって。
でシート状に仕上げて。
Speaker 1
すごいなでもそんなんできる。
それはもう患者さん、いろんな患者さんに使えるっていう方法がもう確立されてるっていうことですよね。
Speaker 2
いろんな患者っていうと今紹介したのはAさんの細胞を取ってきてAさんに心臓に貼り付けられるBさんはBさんの細胞で育ててっていう。
ただこれを一人の患者から取ってきていろんな患者へと投与できたらそれ結構効率的というか。
そうですね確かに。
それを実現しようとしてるのがIPS細胞だったりしますね。
Speaker 1
それはやっぱまだ難しいんですか。
Speaker 2
ちょっとあの結構知見は進んでるんですけどまだ承認まで行ってないんじゃないかな。
Speaker 1
ああそうなんだ。
Speaker 2
ハートシートだけどもう少しじゃないかとか言われてますけどね。
IPSを使った。
Speaker 1
言ったらその免疫の問題とかもクリアしてるってことですもんね。
他の人の細胞からでもいいってこと。
Speaker 2
そうですねこれ面白いのが京都大学IPS細胞のメッカですけれども山中先生がおられるんで。
京都大学の方でIPS細胞をいろいろ遺伝子編集したりとかして免疫反応が起こさないIPS細胞とかも作られてるんですよね。
Speaker 1
すごいな。
Speaker 2
それを元にしてハートシートを作るとか。
そういった取り組みっていうのはされてますね。
このIPSだったら結構さっき言ったような研究製造を難しくしているポイントの一つとして取り上げた最初の出発材料として品質的な変動がっていうところも考慮しなくていいんで。
IPS細胞って無限に増殖させられることができるって言われてるんで。
Speaker 1
もうある程度その増やし方とかそういうのはもうできてるっていう感じ。
Speaker 2
そうですね。
なのでそういうIPSっていうのはやっぱりそういうメリットもあって品質的な変動も抑えられるし、いろんな患者にも投与できるし、使えるしっていう。
Speaker 1
それ聞くとさっきのガンのカーT細胞に使いたくなりますよね。
Speaker 2
そうですね。それもすごい今ホットでIPS細胞からT細胞へと分化させていって、その時に遺伝子も編集してあげて免疫力すごい強化させて。
Speaker 1
そうですね。すごいやっぱ難しいなって思ったのは患者さんから取ってくるっていうのがあるだけでストックできないじゃないですか。
いっぱい作って保管しとくっていうのができないから。そこすごい問題だなって思って。
Speaker 2
そうなんですよね。なので前までカーTとか、前までって言ったらおかしいですね。今やられてるカーTとかって一人の患者から取ってきてまたその患者に返すっていう治療法でしたけど。
ものすごいお金がかかっちゃってて。
Speaker 1
ですよね。輸送して。
Speaker 2
そうですね。世の中に出た時この治療費として確か5000万円って値がついたんじゃないかな確か。
Speaker 1
5000万円か。
Speaker 2
けどもう本当に確実に治るって言われてて、その時は。
Speaker 1
本当のお金持ち向けの医療ですね。
Speaker 2
そうですね。保険適用になってるとはいえすごい医療費が高くて。
Speaker 1
保険適用でもっていう感じがすごいから。
Speaker 2
そうですよね。日本で3割負担だとしても1500万は払わなきゃいけない。
Speaker 1
1500万すごい。
Speaker 2
そういう感じですごい高額だったんですけど、IPSっていう技術が出てきて、より安価な値段で提供しようっていうところが結構いろんな製薬会社さんで行われてますね。
Speaker 1
結構コットなジャンルなんですね。
Speaker 2
めちゃくちゃホットですね。このカーティーの話は再生医療学会でも結構ありましたね。
Speaker 1
確かに応用範囲も広いですね。きっとがんの種類とかによってカーティーの育て方が違うみたいなことあると思うんですけど。
Speaker 2
そうですね。
Speaker 1
それができたら一個一個直していけるとかそういう話になりますもんね。
Speaker 2
カーティーに触れたんでちょっともう少しカーティー深掘りしちゃっても大丈夫ですか?
大丈夫です。
話そうかなと思ってたんで。
Speaker 1
ぜひ深掘りしてください。
Speaker 2
カーティーって結構いろんな世代があるって言われていて。
Speaker 1
世代。
Speaker 2
カーティーってT細胞にがんを認識させるものをつけるんですよね。遺伝子操作をして。
Speaker 1
なんかセンサーみたいなことですよね。
Speaker 2
センサーみたいなのをT細胞に表面に生えさせてあげる遺伝子操作をしてってところなんですけど。
その生えさせるセンサーっていうのがどんどん1世代目2世代目3世代目4世代目っていう形でどんどん進化をしていっていて。
1世代目はただがん細胞を認識するだけだったんですけど。
2世代目は認識したらその次T細胞自体をもっと強力に活性化させようと。
Speaker 1
もうスイッチにもなってるっていうことですか。
Speaker 2
さらに3世代目になるとT細胞を強化させるだけじゃなくてT細胞からいろんな因子を出させて他の免疫細胞も寄ってこさせよう。
4世代目になるともうT細胞のシグナルだけじゃなくて遺伝子発現も強化させるようにしてとか。
Speaker 1
じゃあどんどん本来のT細胞みたいにしてるってことですかこれ。
Speaker 2
本来のT細胞よりも強いですね。
Speaker 1
よりも強いか。
Speaker 2
進化しちゃってる。
完全にもうデザイン、人がデザインをして。
Speaker 1
そっかこんな免疫細胞だったらもっと効くようになるのにみたいな。
Speaker 2
詰め込んで。
詰め込んでいってますねどんどん。
Speaker 1
患者さんに戻すみたいなことですか。
すげーな。
Speaker 2
そういう感じで今はカーティーの分野って進んでるんですけどもっと将来的な話をすると。
インビボカーティーって言われるところが結構将来的には実現するって言われてて。
これ何かっていうと、遺伝子治療って聞かれたことあると思うんですけども、遺伝子を人に投与することによってその遺伝子をちょっと書き換えてあげてその機能を直したりっていう話ですけど、
カーティーのところで置き換えて話すと、遺伝子を人に投与するとそのT細胞に働きかけてT細胞を勝手に遺伝子が書き換えられてカーティーになって体の中でなって。
すごいなそれ。
なんでこれがもしも実現すると、一回患者から細胞を取り出してとか、もしくは自分製造所でiPS細胞からT細胞へと分化させてみたいな、そういった過程を全部スキップさせて。
Speaker 1
イメージとしては今まで一回細胞取ってきて、その実験室でT細胞をデザインするみたいなのをやってたけど、その過程をもう現場でやっちゃおうみたいなことですよね。
Speaker 2
そうです。もう患者の体の中でやっちゃおうっていう。
Speaker 1
それできたら確かにすごいですね。でもやっぱり難しいからできてないですよね。
Speaker 2
多分そうなんですよね。やっぱり人の、それこそやっぱり最初の話に戻りますけど、患者自身の細胞を使っちゃうんで、結構品質的な変動が、この患者には効くけどこの患者には効かなかったりとかもあったりするかもしれないですよね。
Speaker 1
そもそもでもカーティーを狙ったように体の中で作れないと、なんかもうめちゃくちゃになっちゃいそうだなって思いますけどね。
体のいろんなところでカーティー作れますみたいになっちゃうと、ある意味暴走しちゃうじゃないですか。
Speaker 2
そうですね。なんでT細胞だけで遺伝子変種が起こるようにとかで、その遺伝子変種もミスが起こらないようにとかっていうのは、もうどういう遺伝子をデザインするかですよね。患者に投与する遺伝子を。
Speaker 1
それはもうだからさっき言ってたT細胞上に出てくるセンサーを、そのセンサーを発現する遺伝子みたいなやつを体の中のT細胞にも送り込むっていうことであってます?
はい。
あーそっか。だからそのある意味送り込む情報を変えてあげれば、その患者さんにあったものが作れるとか。
Speaker 2
あー確かにそういうのはありますね。
まあでもT細胞以外に絶対行っちゃいけなさそうだなそれって思いますけど。
そうですね。まあ多分T細胞だけに、行ったとしてもT細胞でしか働かないような形にデザインされてるとは思うんですけどね。
うーん。
ごめんなさいちょっとカーティーの話で盛り上がっちゃったんですけど。
はい。いやいやでも面白い。
他にも、面白いですよね本当。なんか最先端って感じしますよね。
Speaker 1
最先端って感じしますね。
あーそっか。再生医療って聞くともう本当に言葉だけ見ると臓器レベルで再生させるみたいな感じですけど、今のって多分細胞レベルじゃないですか。
Speaker 2
そうですね。
Speaker 1
それも再生医療に全部入ってると。
Speaker 2
そうですね。まあ再生医療って言っちゃうとそうなるんですけど、まあ製薬業界として取り組んでるのは再生医療等製品というか。
Speaker 1
あーうん。そこの定義に入ってるって感じなんだ。
Speaker 2
そうですね。まあそういう形が多いかなと思いますね。
へー。面白いですね。
で、まだちょっと臓器を作るってところまではなかなか難しい状況ですね。
難しい。
なんかIPSでこういう組織を作ることができましたみたいなのが論文で発表されたりっていう段階で、まだ実際の医療現場に応用するってところまではまだまだ追いついてないのかなって思います。
Speaker 1
まあそれこそ最初の肉の繊維作れましたとかそういうのが今いろいろ出てきてるって感じですかね。
Speaker 2
これからって感じですよね。
で、他にも製造現場、実際の再生医療の加工施設では難しいところがあって、作ってるのがやっぱり生きてる細胞なんで、一回培養作業を始めたら止めれないんですよね。
Speaker 1
止めれない。
Speaker 2
何が難しいかって。
Speaker 1
ここまでお聞きいただきありがとうございます。